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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■『題未定』ってタイトルのエッセイ集があったな/『キノの旅W』(時雨沢恵一)ほか
朝、起きるなり、しげが「3万円取ったなあ〜」とヘビのように目を赤くしてチロチロと舌を出して絡みついてきた。
何のことだか全く身に覚えがないので(自分の妻に対してやましいことはしてないことには一応、自信がある)、なんじゃいそりゃあ、と問い詰める。
「あんたがいきなり、3千円貸してくれって言ったんよ」
「ふんふん」
「でも、財布に3万円あるの見つけたら、『こんなに持ってるじゃないか』って言って、全部取り上げたんよ」
「はあはあ」
「ひどいやつやん、あんた」
状況はだいたい解った。
「で、それはつまり、おまえの見た『夢』なんだな?」
「うん」
「自分の夢に他人を巻き込むんじゃねえ!」(by『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』あたるのセリフ)
例の靖国問題で、野中広務氏が中国の唐外相と会談。
「『やめなさい』発言は、外圧であって、かえって日本国内のナショナリズムを台頭させる」と正式に抗議。
それに対し、唐外相は「真意が伝わっていない」と弁明。
……「真意」は「日本は中国に従え」ってことだろうに。あくまで「訂正・謝罪」をしないのは日本も中国も変わりゃしないのだな。
押しては引き、じゃないけど、「外圧は内政干渉である」、しかし「靖国問題は国内でも意見が分かれており検討する」とした野中さんの駆け引きは、政治家としてはマットウなものだ。結局、田中外相じゃ(なんでマスコミは真紀子外相って言い方をしてるんだ。変だぞ)埒があかないから野中さんが出なきゃならなかった、という形になってしまった。
これは、今までの「小淵さんは犬死」発言や「候補者の名前も知らない」などの失言とは違って、田中外相の立場を圧倒的に悪くしたと言っていい(外務省人事でも大きなミソつけたけど)。
いや、政府内の立場、ということでなく、世間の信頼や期待をなくした、という点で大失敗であったのだ。
これまでの小泉人気も、田中人気も、野党が「具体性がない」と批判したにもかかわらずさほど影響がなかったのは、「ともかく今までのままじゃダメだ。『改革』してくれそうな人にともかく賭ける」という民衆の「背水の陣」的感覚があったからだ。
だから、靖国に参拝するのがいいのか悪いのか、実は内容はどうでもよかったのだね。要は日本が「NO」と言えるかどうか。殆どヤクザの恫喝と変わらんような稚拙な「やめなさい」発言に対して、「日本のことは日本に任せなさい。あんたらの指図を受ける問題ではない。それでも日本は決して軍国主義には走らないのだ」と民衆はハッキリ明言してほしかったのだ。
それを、田中外相は言えなかった。
民衆の指示のみが田中外相の唯一の頼りどころだったのに、それを外相は失ってしまった。今回はなんとかしのいだものの(というより小泉首相に温情をかけてもらったようなものだ)、もはや田中外相に現内閣内では強い発言権は与えられまい。政治家としての求心力をほぼ失ったと言えるだろう。
……結局、「変節」しちゃったら政治家は終わりなのである。なんだか土井たか子か加藤紘一みたいになっちゃったなあ、田中さん。
「熟慮する」と言いつつも8月15日の公式参拝を企図している小泉首相は、まだなんとか支持を保っている。首相になる以前からそのことを公言していたのだから、もし「やっぱり止めました」となれば、これも公約違反と受け取られ、人気は急落するだろう。
周囲がどんなに「小泉首相のままでは日本は右傾化する」と警鐘を鳴らそうが、現実に徴兵制が引かれでもしない限り、それは野党の杞憂、というより被害妄想ということで決着するのだ。
小泉首相の周囲にしたって、「熟慮してほしい」と持ちかけているのは、やはりただの「駆け引き」に過ぎない。民衆の支持が小泉首相から離れたと判断したら、そのときに「いくら意見を言っても聞き入れない人だから」と言って決別するための伏線に過ぎないのである。
自分の決意を断行する、それが小泉首相に求められてるスタイルにほかならないし、そうするしかないのである。
だから日本の場合、政治ってのは主義主張じゃなくて態度決定の問題なんだよね。
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08月02日(木)
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