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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■愚か者の舟/『ハッピーマニア』1巻(安野モヨコ)ほか
 なんだかまた悲惨な事件が起こってるなあ。
 兵庫県明石市で行われた花火大会の直後、JR朝霧駅前の歩道橋に殺到していた観覧客の一群が、改札ホーム前の階段付近で将棋倒し、十人が死んだとか。
 死んだのは殆どが老人、あるいは年端も行かない赤子・子供ばかりである。
 さて、こういう悲惨な事故に巻き込まれて亡くなられた方々のご冥福を祈るに吝かではないのだが。

 でも、私の性格の悪いところで、どうしても次の三文字が頭に浮かんでしまうのですねえ。
 「馬鹿?」
 別に死者に鞭打つつもりはないよ。誰が一番悪いかって、そりゃ市とか警察が警備を怠った点にあるのに決まってるんだから。
 でもだ。

 別に行政の不手際を庇うつもりはないけれど、予め身動きできなくなるほど混雑するって、見物客がわからなかったはずはないんじゃなにいか? ケガする危険性だって少なくはないとわかっていながら、なぜみんなそんなところに行くのかね。
 混雑客が将棋倒しになって、ってのは今に始まった事故じゃない。デパートのエスカレーターでだって起こり得る事態だ。けれど、開店時や時間限定のバーゲンなんかを避ければ、まずそんな事故に遭遇することはない。
 結局は「今しか見られないから」とか、「より見やすいところで見たい」「他人より少しでも前に出たい」という欲(「願い」もまた「欲」だってこと、忘れちゃいかんよな)が引き起こした結果ではないのか。
 自分のことしか考えてない連中が集まったから、階段を上ってくるやつと降りてくるやつがぶつかってどうにも動けなくなったのだろう。
 そんな危険なところへ小さな子供を連れて行ったというのは私に言わせりゃどうかしている。それどころか親が同伴せず、子供だけで行かせたケースもあったようだ。……低学年の子を夜間徘徊させる親はどう考えても異常だろう。
 親も加害者の一人ではないのか。

 ……てなことは、子供を殺した親が一番感じてるだろうから、誰も言わないけどね。でも、それが冷徹な事実というものである。
 私ゃ、いつぞやの、河原にキャンプして川に流された家族を思い出したねえ。「子供に思い出を」とか「子供とのコミュニケーションを」とか考えてるのかどうか知らんが、やたらとイベントがあれば子供を連れ出す親がいるがね、それがただの親のエゴである場合も多いのだよ。今回のケースがそれにストレートに当てはまるとは思わないが、子供が親の勝手な思いこみのせいでかえって迷惑してる場合もあるのではないか。
 ……思い返せば、そんなところには子供をしょっちゅう連れ出して疲れさせるくせに、子供が行きたがるところには連れて行ってくれないのがウチの親だったよなあ。
 ナントカ牧場だのカントカ洞窟だの、遺跡だの史跡だの重要文化財だの、教育効果を考えてなのか、そういうクソ面白くもないところばっかり、ヒトを引きずりまわして自分だけ悦に入ってたがよ、わしゃ未だに『メカゴジラの逆襲』に連れて行ってくれなかったこと、うらんどるからな〜。
 そしてアレですよアレ、「大阪万博」の「月の石」!

 ……見たかったんだ。
 「アメリカ館」のを見たかったんだ。
 「ブリティッシュコロンビア館」の間に合わせなんかじゃなくて。
 コドモが本当に見たいものなんて、オトナには決して分らないのさ。
 うっうっうっ(ノ_
07月22日(日)
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