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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■2005年度キネマ旬報ベストテン/ドラマ『Ns’あおい』第一回/『アンフェア』第一回
柳葉敏郎も臭い演技を披露しているが、もともと「現実ではおどけたキャラを作って本当の自分を隠している」役柄だから、これはなんとかセーフである。唯一、マンガキャラに命を吹き込めたのが小峰主任看護師役の杉田かおるで、青井の指導役として、「悪にもなりきれない微妙な心理の揺れ」を見事に演じている。他が下手過ぎってのもあるかもしれないが、ああ、この人はこんなに上手い人だったんだ、バラエティ番組にばかり出してるんじゃないよと、感心を新たにしたことであった。
続いて、やはり新番組、こちらはミステリーの『アンフェア』。
篠原涼子に対するイメージは、昔はあまりよくなくて、まあ、歌手時代はバラエティ番組でその常識のなさを共演者からも馬鹿にされていたから、印象のよくなりようもなかったのだが、『Jam Films』を見て、「あっ、この子、演技できるじゃん!」と、遅まきながらその才能をやっと「発見」したのである。思うんだけどね、日本のバラエティ番組ってね、やっぱ役者の才能を削る方向に働いてるマイナス面の方が大きいよ。
女版ダーティー・ハリーと言うか、V.I.ウォシャウスキーのイメージも入っていると思うけれども、キャスリーン・ターナーと違って、篠原涼子の場合、ドラマ内でも言っていたが、カゲキな操作をするわりに「無駄に美人」というところが良い(笑)。女性を美醜で判断するな、とフェミニストからは叱られそうだが、本人は自分の美貌なんか気にもせず、ちょっと「汚れている」からイヤミがないのである。
「そんなんだから結婚できないんですよ」と相棒に突っ込まれて「こう見えてもバツイチなんだよ!」と反論するんだが、バツイチじゃ威張れないでしょう(笑)。こんなふうに間が抜けているところがあるのも愛嬌に繋がっている。もしかしたら篠原涼子、この役で化けるかもしれない。
脇役の配役も面白く、篠原涼子の上司がいつもはヤクザみたいな役の多い寺島進であるとか、元夫が頼りになるんだかならないんだかよく分からない感じの香川照之であるとか、ライバル刑事がこれまた正体不明な印象の阿部サダヲであるとか、「何が起こるか分からない」期待感を抱かせる。ミステリーのキャスティングってのはこうでなくっちゃね。
ミステリーであるから、作品そのものの評価は今後の展開を見なければ何とも言えないが、今のところは「犯人らしき人物」が殺人記録をパソコンに打っているあたりに何かの「罠」が仕掛けられていそうで、面白くなっていきそうな気配である。『あおい』で落胆したあとだけに、ちょっと評価が高くなってるかもしれないが、ラストまで見て、この評価が逆転しないことを祈りたい。
01月10日(火)
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