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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■政治を笑えば政治に利用されるということ/映画『チーム★アメリカ ワールドポリス』
 ある意味、「またゴドーかよ」という謗りを受ける覚悟も作者にはあったかと思うが(まあ意識しないで『ゴドー』になっていたという可能性もあるが)、舞台設定の見事さと役者陣の熱演で、二番煎じ三番煎じの印象を持たれることをうまく避けている。松尾貴史の操るいかにも胡散臭い「ガルガル語」(よく聞いてみると「愛があれば年の差なんて」「リンガーハットなぜ遅い」とか、日本語を外国語っぽく言ってるだけなのである)も、物語全体を通して見れば、ただのギャグではなく、「本当にガルガル語など話せないのではないか?」という彼のアイデンティティを疑う要素として機能している。全ての「実在」が疑わしくなったとき、そこから立ち上がるべき「人間」というものはありえるのかどうか。
 不条理劇の究極はデカルトへの挑戦である。それが笑いと恐怖の表裏一体のドラマとして描かれることの必然をこの芝居は明示しているように思う。
 一つだけガックリしちゃったのは、まあ、分かりやすくはあるのだけれど、六角形の部屋の上面図をわざわざ物語の冒頭から舞台に投影していた演出である。そんなの説明しないでいたほうがより舞台が「ややこしく」感じられてよかったんじゃないかと思うのだが。
 ついでだけど、天川を演じている山内圭哉、今まさに奥菜恵の浮気相手ではないかと巷のスズメが喧しい人だが、今回はトレードマークのスキンヘッド(後頭部のひとふさだけ残している)をキャップなどで隠しての出演。普通の人っぽく演じてるんだろうけれど、やっぱりどこかコワモテの雰囲気が漂うのは隠し切れない(笑)。でも本当に奥菜恵の相談とかに乗ってあげてたのなら、優しいところもある人なのかもね。


 テレビで映画『サトラレ』を放送していたが、久しぶりに見返してみると本広克行の演出が以前にも増して幼稚に見えてきた。一番よくないのは主人公たちを背後で支えているはずの「サトラレ対策委員会」の様子の描写で、委員たちのキャラクターがいかにもコトナカレな連中に戯画化されてしまっているので、それが物語全体に波及して全体的にチャチな印象を与えてしまっているのである。マンガだとサトラレにサトラレないようにする大騒動の様子などを描いても違和感ないのに、実写だとやっぱりどうしても「ありえねー」感じの方が先行してしまうので、それをどうにか処理しなきゃなんないのだが、その工夫が全くないのが本広監督の才能の限界である。
 まあ映画全体がつまんなく感じられる原因は、主演の安藤政信 の演技がまたシロウトに毛が生えた程度で見るに耐えないってのもあるね。でもやっぱり八千草薫は年取ってもすっげえいいわ♪

07月31日(日)
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