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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■すれ違う言葉/『不死身探偵オルロック 完全版』(G=ヒコロウ)
 連載当初はあった「探偵」の設定も、話数を重ねるうちになし崩しにどうでもよくなっていくのもギャグマンガの宿命のようにもので、主人公のオルロックはどんどん影が薄くなり、中華探偵姉弟、ギャルキング、野沢ウォーケン(このネーミングには笑った、確かに野沢那智、しょっちゅうクリストファー・ウォーケンに声当ててるわ)、思い出刑事といったゲストキャラに存在感を奪われていく。それが少しもマンガの質を落とすことになっていないのが素晴らしいのだが、反面、今時の“薄い読者”に、このマンガの面白さがどれだけ伝わるのだろうか、と不安になってしまうのも事実だ。マニアックだから伝わらないのである。ギャグセンスというものは「シュールorナンセンス=わけが分からない=既成の概念が破壊される=面白い」という図式が予め素養として脳内にインプットされていなければ育たないものだが、今時の若い人にはこのセンスに欠けている人が多い。「わけが分からない=つまらない」と単純に判断されてしまうのである。だから、彼らが笑うギャグはたいてい「分けの分かった」オヤジギャグに限定されてしまうことになる。
 なんですかねー、皆さんの身の回りに一人や二人はいると思うけれどもねー、オヤジギャグをかましまくって自分はギャグの天才だなどと嘯いて悦に入っているやつって、最近多くないスかあ? あいつらが鬱陶しいのはねー、ギャグのレベルが低いというよりか、「わけが分かっている」ギャグを平然と口に出来る厚顔無恥のせいなんだよねー。
 それはさておき、『オルロック』のわけの分からなさというのはどんなものか。例えば19話では、いきなり意味もなく「伊東四朗の顔」がはめ込まれたマクラが現れ、「伊藤ピローです。ニン!」と歯をむいて消える。「伊東四朗」と「伊藤ピロー」だけならただの駄洒落だが、こいつがなぜ何のために出てきたのかが分からない。更に“グルメな枕”「山岡ピロー」が現れ、目が寿司になる。何がどうして寿司。もう全然わけが分からないが、とどめに「岸部ピロー」が現れて「かなんなー」とか言いながらフーリガンにぶっ殺されるのだ。文章で説明してもわけが分からないだろうが、マンガで見てもやっぱりわけが分からないのである。もはやこのマンガがどこに行こうとしているのか、予測のしようがない。つか連載終わっちゃってるけど、終わるよなあ(笑)。
 もともとお気に入りに入れてる日記さんの紹介で知ったマンガなんだけれど、こんなマイナーなマンガを楽しんでる人間なんて、探さなきゃ見つかるものでもないだろうと思っていたが、しげも結構気に入ってるらしくて、なんかやたら読み返しているのである。更には鴉丸嬢も大好きで、しげと「いいよねー」とか言い合ってるらしい。マンガファンが百人いたら、G−ヒコロウを読んでる人って、中に一人二人いればいいほうだと思うが、何ですぐ身近にいたりするかなー。
 あと、併録の『プロフェッサー・シャーボ』と『オダキュー』も楽しいが、一番ウケたのは、カバー裏表紙の横山光輝『マーズ』ポーズで立つオルロック。なぜかワキから「イデ」が発動しているのが笑えるのである。まあどこからでも発動しそうだけどな、イデ。

05月02日(月)
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