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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■さようならドラえもん/『ハウルの動く城』
 けれどだからこそアニメーションとしての表現力は傑出しているとも言えるわけで、ストーリーがデタラメでも、「絵」や「動き」、演出の間などでとにもかくにも2時間を全く退屈させない。だから誉めようと思えばどこまでも誉めることはできるのだ。いつもながらの鬱陶しい「反戦」メッセージがないわけではないが、これもメルヘンという寓意のオブラートに包まれているためにかなり露骨であるにもかかわらず、鼻白む感じがない。しかしそうなるとこれまでの宮崎さん独特の「力技でねじ伏せる演出」も影を顰めているわけで、小林信彦が「枯れた」と感じたのもなるほど、と思えるのである。全く誉めていいんだか貶していいんだか、始末に困る出来映えだ。
 声優については、声を聞く前から非難の声が高かった木村拓也であるが(聞きもしないで文句をつけることがどれだけバカか気付いていない)、普通の声優に比べて全く遜色がなかった。声に艶はあるし、声優ブームとやらのせいでもう名前も覚えきれないほどの新人声優が輩出しているが、あんなのに比べれば数段上なのは間違いない。仮に「この声は私には受けつけられませんでした」という意見があったとしても、そんなのただのキムタク嫌いの偏見だよ、と一蹴してしまえるほどの好演である。それよりもベテラン倍賞千恵子に10代の少女の声を演じさせていることの方がよっぽど苦しかった。でもそれだって貶すほどのものではない。総体的に声優に関しては成功の部類に入ると思えるし、「どうして声優専門の役者を起用しないのだ」といった類の批判の声は、結局は難癖にしかなっていないことがこれでまた一つ証明できたと言えよう。
 ……でもね、一見、貶してるように見えるかもしれないけどね、それは宮崎駿のレベルがもともと高いからなんであって、例えば大友“ただのでぶ”克洋の『スチームボーイ』に比べればもう百倍も出来がいいんですよ。

11月21日(日)
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