ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491704hit]
■今日はケンカしなかったね/映画『スコルピオンの恋まじない』/DVD『新八犬伝 辻村ジュサブローの世界』
石山氏は脚本を書くのに、決して原作の「難しい言葉」を「優しい言葉」に言い換えなどしなかった。その代わりに、説明を入れまくったのである。「還俗」という言葉も、最終回で初めて出たのではなく、その前の回から坂本九ちゃんの懇切丁寧な説明があり、それがまた次の回で繰り返されたという経緯がある。
つまり『新八犬伝』は「復習つき」学習人形劇だったのだ。
何度も繰り返される言葉は確かに見ていてクドさを感じるものだ。しかし、それを補って余りあるのが坂本九の明朗で軽快なテンポの「語り」であった。難しい言葉でも、九ちゃんの話術でかたられるとすんなりアタマに入っていったのだ。
会話していても分るのだが、この『新八犬伝』を真剣に見ていた世代と、それ以下の世代とでは、その語彙力において天と地ほどの違いがある。後に原作の馬琴の『南総里見八犬伝』を読んで、その文が古文であるにも関わらずスラスラ読めることに驚いた。既に、原典を読むための素養が、小学五年生のころの私のアタマにインプットされていたのである。
だから私は教育に関して、「子供には難しいんじゃないか」という発想は持たない。NHKはもう一度『新八犬伝』をリメイクすべきだ。ただ九ちゃんの代わりをする語り手がいないことが一番のネックなんだが……。
DVDには『真田十勇士』第一回、第四百四十三回も収録。
出演者の名前を見ると、その豪華さに驚く。名古屋章、松山省二、岸田森、三谷昇、河内桃子、中村恵子、、里見京子……。語りはアナウンサーの酒井広から熊倉一雄に途中から代わっている。このことも記憶にあるけれど、前番組の『新八犬伝』の九ちゃんの楽しい語りがいきなりアナウンサーの説明口調に代わったんだから、当時は随分腹が立ったものだった。そのあたりのことが原因で変更になったのじゃないかな。
懐かしくてすっかり見入ってしまったけれど、惜しむらくは『新八犬伝』の主題歌『仁義礼智忠信孝悌』(坂本九)と、『真田十勇士の歌』(村田英雄)が収録されていない。アレは音源が残ってるはずなんだがなあ。(2003.3.16)
02月15日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る