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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■短いほど分らない話/DVD『帰ってきたウルトラマン』4巻/『プリンセスチュチュ』2巻ほか
 で、書いてみて確かに思うのは、この「権謀術数」やってる間って、純粋な思考ゲームになっちゃうから、「キャラクター」がすっごくジャマになるのね。『スパイラル』のキャラクターの背景が未だに描かれないのは、もしかしたらそのあたりに理由があるのかもしれないけれど、今後の展開を見てみないと、今はまだ簡単に判断が下せないんだよね〜。
 考えてみれば、ミステリーが傑作かどうかってのは、完結してみなけりゃわからない。面白いかつまらないかわからないまま読んでくってのも仕方のないことなのかもなあ。

 そこで気になるのは、鳴海清隆の存在だ。
 『機動警察パトレイバー』の帆場英一を彷彿とさせる、「全ての事件の鍵を握る男」。帆場は結局、最後の未来を読み切れなかったが、鳴海兄はいったいどこまで未来を読んでいるのか。
 いや、そもそも「人間」はどこまで「先」が読めるものなのだろう?
 全てが読めるとしたら、それは限りなく「神」に近いのではないか?
 その「神」はまた、「ラプラスの悪魔」とも呼ばれる。
 果たして城平さんはこの物語の支配者を「神」「悪魔」どちらの視点で描いていこうとしているのだろうか。
 囲碁・将棋の世界における名人クラスになると、最初の数手で終局までが見通せるそうだ。本作の「全ては鳴海清隆の手の上で踊るものたち」という設定に疑問を覚えるのは、未だに姿を見せぬ彼に、既に見通している未来などというものがありえるのだろうか、ということが気になるからである。
 全てが自分の仕掛けた通りに人間たちが動いていくとすれば、それは恐怖につながらないだろうか。不確定要素のない未来など、私は見たくもないのだが。

 巻末のあとがきで、城平さんがエドワード・ゴーリーのファンであることを知る。有名人でゴーリーファンを表明してるのは、私が知る範疇では江國香織さんに続き二人目。でももっともっと知られてほしい作家さんである。
 新刊の『ウェスト・ウィング』まだ見つけてない。早く買わねば。


 マンガ、和田慎二『神恭一郎事件簿@ 愛と死の砂時計』(メディアファクトリー/MFコミックスフラッパーシリーズ・620円)。
 神恭一郎シリーズの短編はまとめると一冊にしかならないんだが、それを三分冊して売ろうってアコギなやり口。
 ミステリコミックが流行してるから、今、再販したら売れるだろうってハラで出し始めたんだろうと思うけど、あの、ハッキリ言ってさ、イマドキ通用するレベルの話じゃないのよ。
 昔はミステリ作品が少なかったから、仕方なくこんなもんでも読んでたけどさ(1973年!)、もうこれがアイリッシュの『幻の女』の稚拙な模倣作でしかないってことは知れ渡ってることなんだからね。
 ……このマンガをこれから読もうって人は、先に『幻の女』を読んでおいてくださいね。でないと評価の仕方を間違えます。
 考えてみたら、「神恭一郎」って名前も高木彬光の「神津恭介」をモジってるんだものなあ。まあ、昔のマンガ家さんって節操ない人多かったから、和田慎二一人を責められはしないんだけどね。さすがに最近はここまで露骨なパクリはしてないみたいだから。


またもや字数オーバーになっちゃったので、続きはまた翌日。(2003.2.18)

01月26日(日)
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