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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ある「B級」監督の死/『風雲児たち ワイド版』9巻(みなもと太郎)/『復活! 大人まんが』(夏目房之介・呉智英編)ほか
 彼女をアニメの『サザエさん』のイメージで、ほのぼの家庭マンガを描いてた人、なんて思ってたら大間違いで、原作はもっともっとナンセンス色や時評性が強いのだ。もう随分昔、『磯野家の謎』なんかでその「大人まんが」としての一端が紹介されたりはしてたが、結局、長年培われてきた大衆の勝手なイメージを覆すまでには至らなかった。そのあたり「寅さん」が「庶民派」と誤解されてる点とよく似ている。原作のサザエさんって完全にオバタリアンだし、マスオさんだってしょっちゅうマジで浮気したがってるのにねえ。
 だいたいやねー、『いじわるばあさん』自体、ボブ・バトルの『意地悪爺さん』をルーツとしていることを考えれば、長谷川さんが「大人まんが」の描き手だってことに気づきそうなもんなんだけどねー。
 愚痴はともかく、若い人には特に感じてほしいことなんだが、いっぱしにマンガが好きだ、マンガを語ろう、と思ってるなら、こういう「大人」の世界もあることをちゃんと知っといてもらいたいものである。
 と言うより、もともとマンガは「大人のもの」だったのだよ。だって、「子供」の概念が生まれるのは西洋も日本も近代以後のことで、マンガの歴史はそれよりもずっとずっと古いんだからね。マンガの歴史を語るのに、「大人まんが」は避けて通れない。一読を乞うものである。

01月14日(火)
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