ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■インド人にビックリ/『膨張する事件』(とり・みき)/『バンパイヤ/ロックの巻/バンパイヤ革命の巻』(完結/手塚治虫)ほか
 『バンパイヤ』のラスト、自分が殺してきた人間たちの亡霊に悩まされるロックの姿は『四谷怪談』の民谷伊右衛門の引き移しだが、果たしてそれはホンモノの亡霊かロックの狂気が見せた幻か。それが判然としないところに、マンガとも劇画とも断定しえぬ『バンパイヤ』の作品としての不安定さが見て取れるのである。
 単独で別作品に出演するようになったロックは、この後、踊ったりはしなくなる。普通のヒーローやコメディリリーフの役割は、別のキャラクターに託されて行くのだ。
 どんな作品も「時代」との関わりを無視して語ることはできない。作者がどんなに普遍性を持たせようとしても、文化や風俗、思潮は時々刻々と変化していく。寺田ヒロオの断筆に端的に表れている古きよき少年マンガの消滅、安保闘争の終焉、高度経済成長とオイルショックに象徴されるような狂乱の70年代は、もうすぐ目の前だった。

01月05日(日)
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