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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■江川卓>○○○/CD『ちょんまげ天国』/DVD『ハレのちグゥ』4巻/『ほしのこえ』/『オトナ帝国の逆襲』
 短編の『彼女〜』はわずか五分の習作なのでアラも目立つのだが、新海誠監督がアニメを通じて何を表現しようとしているのかが見えるのが面白い。背景もリアル、人間のキャラクターもはっきり出さず、殆ど実写感覚で映像を作っているのだが、主人公の猫だけがキティちゃんのように単純化されたマンガキャラである。ここはもっとリアルなネコキャラでやった方がよかったのでないか、という意見は当然あろうと思われるが、さてそうなるとアニメにする意味自体、なくなってしまうのである。月並みな説明で恐縮だが、アニメキャラというのはまさしく「キャラクター」のシンボライズされた姿なのであって、実写キャラの持つ様々な夾雑物をできるだけ殺ぎ落とした形として出来あがっている。普通のネコが持っている表情、雰囲気、匂い、そういったものはこの猫にはない。あるのは飼い主の「彼女」への「思い」だけである。それをできるだけ純化して表現することこそが新海監督の目指したものだと判断してまず間違いはあるまい。
 となると、声をアテている新海監督の声とキャラとの違和感が気になるのだが、全編字幕と音楽のみ、無声映画にしてもよかったんじゃないかな、とも思うのである。インディーズ映画で無声映画ってのは国境も越えやすいしね。


 DVD『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』。
 ついに出ちゃいましたね! もはや「オタク」と名乗るならこれをバイブルとせずして何がオタクかという域にまで喧伝され尽くした、日本アニメ史上に燦然と輝く傑作、第1回日本オタク大賞受賞作『オトナ帝国』!(T∇T)
 何かこれについて語りだしたらまたそれだけで日記を三日分は使いかねないからなあ。何しろDVDで細かいところまで見返してたら、また新しい発見が山のように出てきたのである。で、また泣いてるし。なんか心のスイッチが必ず押されちゃう感じだね、大丈夫かオレ。
 発見の中には、劇場で見たときには気づかなかった「ミス」も結構あった。
 例えばマサオくんがオトナたちの誘いに乗って飛び出そうとしたとき、カザマくんたちから口を塞がれるのだが、画面ではその手はすぐに離されるのだが、声の方はまだくぐもったままなのである。作画が間に合わなくて、シロミだけだったんでズレちゃったんだろうなあ。
 ドラマ的に「あれ?」と思ったのは、しんちゃんたちを捕まえに行くひろしとみさえが、最初はそれが自分の息子だという記憶は持ってたのが、出会ったときにはもう完全に忘れてしまってるあたりか。でもこれは矛盾というより匂いによる洗脳が進んだと考えるべきかもね。
 もちろんそういう細かい破綻を越えた「何か」があるからこそたくさんのオタクたちの指示を受けたのだが、映画に大満足したあと、それで終わらずにどこかツッコムとこはないかと鵜の目鷹の目で探したくなるのも、それがより深く作品を味わいたいという欲求の現われなのである。
 DVD仕様は日本語字幕つきなので、劇場では聞き取れなかったセリフや歌詞もちゃんと見られる。コンパニオンさんに絡んでるしんちゃんを連れてくみさえ、最後に「ファイン・サンキュー」って挨拶してたんだね。初めて気付いた。セリフのカットなんてのは全くなかったけれど、唯一、字幕で、コサキンのギャグ、「お尻をギュッ!」「ケレル!」が「カモン!」に変更されていた。字幕担当者が一般客には意味不明と判断して変更したのかもしれないが実際のところ、よくわからない。変更は私の見たところその一点だけだった。


 枚数超過したので続きは明日の日記にて。

11月23日(土)
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