ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491718hit]
■トンデモさんがいっぱい/オペレッタ『マリツァ伯爵夫人』
夕方6時半から、アクロス福岡シンフォニーホールで、ウィーンの森バーデン市立劇場公演、イムレ(エメリッヒ)・カールマーン作曲、オペレッタ『マリツァ伯爵夫人(Grafin Mariza)』を鑑賞。
あちらのオペレッタなんて、日本のコヤにかけて面白いのかいな? という疑問がないわけでもなかったが、それは杞憂に終わった。
確かにこれは出演者はみな外人、完全な洋モノであるわけだが、堅苦しい芸術作品ではなく、日本で言えば軽演劇、歌と踊りの入った吉本新喜劇と言ってもいいくらいエンタテインメントに徹している。筋立てはもう、このままマンガにしたら見事に定番の少女マンガになるだろうってくらい、お馴染みの設定やセリフがテンコ盛りである。この芝居が作られたのが1924年だってのがちょっと信じられないくらいだ。
父親の遺産を相続してから、マリツァ伯爵夫人(ヨアンナ・マリア・ルウェッフェル)には結婚の申し込みが殺到。ウンザリした彼女は一計を案じ、ハンガリーの国境に近いバルカン地方の屋敷に引っ越し、そこでヴァラスディンのコロマン・ツゥパン男爵という架空の人物をでっちあげ、彼と婚約すると求婚者たちに伝える。
求婚者の一人、モーリツ・ドラゴミール・ポープレスク侯爵(マンフレード・シュヴァイゲル)は悔し涙に暮れるが、もう一人、密かに落胆している男がいた。
マリツァに新しく雇われた領地経営長は、トゥレックと名乗ってはいたが、実はヴィッテンブルグ家のタッシロ伯爵(ミヒャエル・ハイム)。伯爵家が倒産して財産が競売され、かろうじて妹のリーザ(スサンネ・ラーテ)をブカレストの寮制学校に入れて、彼女に仕送りをするために身をやつし、働いていたのだった。素性を明かせぬがゆえに、彼はマリツァに心惹かれつつも使用人としての立場を崩さず、冷淡な態度をとる。
ところが自分の命令に唯々諾々とする風でもないタッシロに、マリツァの方もいつしか魅力を感じるようになる。おりしもジプシーのマンニーア(マグダレーナ・ホフマン)は、マリツァに「貴族の凛々しい騎士と恋に落ちる」と預言していた。
ところがそこへ現れたのは、偶然にもマリツァがでっち上げた男爵と同姓同名の男(ロマン・マルティン)。地方弁丸出しのこの粗忽者は、新聞の一面を飾った婚約記事を見て、本気で自分がマリツァと婚約したと思い込んでしまったのだ。困惑するマリツァだったが、その場はどうにか誤魔化すことに成功する。
相手がいないまま開く予定だった婚約披露宴には、リーサも招かれてきていた。再会を喜ぶタッシロだったが、妹に事情を打ち明ける様子を垣間見たポープレスクは、二人が恋人だと勘違いし、マリツァに注進する。
リーサへの嫉妬と、タッシロも自分の財産目当てかと憤ったマリツァはタッシロに大金を渡して屋敷から出て行くように告げる。自分の真実を疑われたタッシロは、ジプシーたちに金をバラ巻き、屋敷を去ろうとする。
そのとき初めてマリツァはリーサがタッシロの妹だと知る。タッシロの伯母であるクッデンシュタイン侯爵夫人(マルガレート・ツガール)が現れ、売られた彼の財産をすべて買い戻したことを伝える。障碍のなくなった二人は、再び恋に落ちたのだった。
字数をオーバーしたので、この芝居の感想は明日の日記に。
09月27日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る