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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■肩がイタイ/映画『DOA』/『となり町戦争』/『魂萌え!』/マンガ『C.M.B.』第4巻(加藤元浩)
 ダイヤモンドシティのフードコート、ワンコインセールとかで、各店舗でステーキや焼きめし、たこ焼きなんかが500円の安売りセールを行っている。
 単価がもともと800円前後でお高いので、500円になって普通の値段かな、という印象なので実はあまり安売りという感じはしないのだが、よその店だとやっぱり1000円2000円はかかってしまうので、これを利用しない手はない。
 一番安売り感がするのはどれか、と妻に聞いてみたら、「ステーキ!」と答えた。質問するまでもない返答であった(笑)。腹ごしらえをしてルクルへ。


 映画『魂萌え!』
 (原作 桐野夏生/監督 阪本順治/プロデューサー・李鳳宇)

〔キャスト〕
 風吹ジュン、三田佳子、加藤治子、豊川悦司、常盤貴子、寺尾聰

〔ストーリー〕
> 定年退職から僅か3年、夫・隆之は心臓発作であっけなく逝ってしまった。葬儀の後、隆之の携帯にかかってきた電話がきっかけで、敏子は夫に10年来の愛人がいたことを知り愕然とする。さらには、突然同居を宣言する長男の身勝手さにも嫌気がさし家を飛び出すが、行く宛てはない。生まれて初めてカプセルホテルに泊まり、そこで宮里という老女に出会う。宮里は悲惨な身の上話を聞かせ、お代として1万円を要求するのだった……。

 福岡のシネコンの中で、恐らく一番客が入ってないであろうルクル。立地条件が悪い上に、レイトショーがキャナルの1000円に比べて1200円とちょっと割高。最近ようやくポイントカードを作ったが、レイトを他と同じく1000円かそれ以下にしないと対抗は難しいと思うが、今更もう遅いかもね。
 ヒット映画でも休日に楽々席が取れてしまうのだから、はてさてどれだけ持つものやら。

 アイドル時代の風吹ジュンのスキャンダルを記憶している人はもうそう多くはないと思う。『がきデカ』のジュンちゃんのモデルになったくらいだから、それなりに人気はあったのだけれども、いったんそれは地に落ちた。それからお定まりのお色気路線での復帰、『蘇える金狼』で松田優作と大胆なシーンを演じたりして、とりあえずの浮上は果たしたが、その後、役者として大成するとは誰も予想はしていなかっただろう。
 本人もそのあたりを自覚していたと見え、大林宣彦監督と出会ったときに「もっと早くに監督に出会えていれば」と言ったという話であるが、もっと早くに出会っていたら、もっと早くに脱がされていたことであろう(笑)。
 でもって54歳になっての風吹ジュンの風呂場シーンが話題になっている本作であるが、別に前を見せるわけでなし、内容は初老を迎えた女性の自立の物語なのだから、そういう方面での話題作りはこの映画にはふさわしくない。というよりは失礼である。

 さりげなく地味に見える物語であるが、この映画が風吹ジュンと同年代の女性に対して訴えかけるメッセージ性はかなり強い。
 あなたは今一人ですか、それとも家族に包まれていますか?
 そしてあなたは今の人生に満足していますか?
 あなたはあなたの側にいる人を本当に理解していますか?
 あなたはあなた自身が何を欲しているか、本当に知っていますか?
 そういった質問に対して、正面から答えることをこの映画は女性たちに求めているのである。

 「関口敏子」という主人公の名前はあまりに平凡である。おそらくは同姓同名の人間が全国には何百何千といると思われるが、そのことでトラブルになる可能性も覚悟の上で原作者は「平凡さ」を重視して主人公にこの名前を付けたのだろう。
 「鬼龍院華子」とか「萬里小路綾香」なんて名前は、本作には似合わない。このネーミングは松本清張の系譜に連なっている。すなわち、「どこにでもいる一介の主婦」、つまり「読者であるあなた」の共感を求めるために付けられた名前なのだ。
 本作は厳密な意味でのミステリーではないが、未亡人となった敏子は夫に「謎」があったことを知る。現象としてはありきたりな「夫の浮気」という事実に過ぎないが、自分の知らない夫の姿を知るにつれ、夫と自分との間にどれだけ高い壁があったか、どれだけ心理的に離れていたかということを、否応なしに突きつけられることになる。

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02月12日(月)
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