ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491657hit]

■別に皇室ビイキじゃないんだけどさ/ドラマ『相棒』第3話「黒衣の花嫁」
 男軍団と女軍団の対決で、大竹まことさんが出演することは先週の予告から分かってたんで、てっきり「作る方」だと思い込んでいたのだが、食べる方であった。「男の手料理」本も出されているくらいだから、当然、味にはうるさい。つか、いくら最高級品のズワイガニを使ってるからと言って、堀越のりの料理を食べさせるというのは拷問ではないのかな。このムスメは、インリンとタメ張ってる驚異の料理ベタ&学習能力ゼロムスメなんだから。案の定、「お前は番組来るな!」と怒鳴られていたよ(笑)。
 田嶋陽子の料理もたいしたことなかったんだけれど、こういうところで生活能力の低さを露呈してしまうと、フェミニズムもやっぱり自分の無能を覆い隠すための言い訳に過ぎないって気がしてしまうのだよね。それこそ男だろうと女だろうと、「食えるものを作って食う」は生活の基本でしょうが。
 最高に美味い、店を開けと絶賛されたのが杉本彩の料理だったのだが、色気と食い気と両方で迫られたら男はたまらんだろう(笑)。いや、色気だけの人ではないのだよと言いたいわけで、その点でいろいろ誤解を受けることの多い人だけれども、役者としてもこの人はもちっと評価されて然るべきだと思うんだけどね。


 ドラマ『相棒』第3話「黒衣の花嫁」。
 サブタイトルの元ネタはウィリアム・アイリッシュ……じゃなかった、コーネル・ウールリッチだね。「ブラック・ウールリッチ」だから。って、何のことだか分からない基礎教養のないエセミステリファンは去れ。ジャンヌ・モロー賛江。
 こういうサブタイトルを付けられると、この「黒衣の花嫁」に当たる人物が実はムニャムニャなのではないかとつい想像してしまうが、そこまで芸のないことを『相棒』のスタッフはしない。しないけれども、じゃあ、もっと面白くしてくれてるかというと、そうでもないのが今回のエピソードの弱いところ。遠野凪子をわざわざゲストに呼んどきながら、ほとんど出番がないって、そりゃないよってなものであるが、真犯人の設定も新味がないし、犯行の動機が解明される手順は、もっと精密に行われなければミステリーとして成立し得ない。それができなかったのは「一時間枠」という制約のせいだろうけれども、だったら最初から遠野凪子に関する部分はカットして、真犯人のアリバイ崩しと動機探しだけに物語を絞ってた方がよかったと思うのである。でなけりゃ全く逆に、遠野凪子メインにドラマを仕立て直すとかね。
 『古畑任三郎』がトリックに弱点があっても「一時間枠」で見られるものになっていたのは、倒叙形式を取っていたために物語を「古畑対犯人」の対決ものとしてシンプルに仕立てられ、本格ものの場合の「犯人探し」の要素を省略することができていたからである。前半は犯人捜し、後半は犯人との対決プラス動機探しなんてのをたった一時間でやろうなんて「詰め込み」ミステリー、土台、成功するわきゃないのである。
 だからまあ、「物的証拠はこれから見つけます」で幕切れにしなきゃならなかったり、冷静な右京さんをあえて怒らせてむりやりドラマチックに仕立てようとしたりと、姑息な手段ばかりが目立つことになってしまうのである。
 なんかこの「冷静な探偵が怒る」ってパターンも、いつから始まったのかね。うまく成功している例というのをあまり思いつかないんだけれども。『古畑』や『機動警察パトレイバー2』は明らかに『刑事コロンボ』の影響下にあるんだけれども、遡ってくと、ドストエフスキー『罪と罰』のポルフィーリー判事にまで辿りつきそうだ。けれど、これをやれるのは犯人がよっぽどヒドいやつじゃないと無意味で、今回も「どうしてこの程度の犯人相手に右京さんともあろう人がそこまで激昂しなきゃならないの?」と不自然に感じられてしまうのである。こういうネタでやるんなら2時間枠の時にやろうよ、ねえ。
 それからゲストの一人、坂田聡(さかた・ただし)さんだが、『ケータイ刑事 銭形舞/シベリア超特急殺人事件』の時も似たような印象の役を演じていらっしゃった。慌て者風なキャラクターで結構好きな役者さんなのだが、もうちょっと幅広い役を演じてくれないかなと、ちょっと気になった。

 『蟲師』の感想は深夜アニメで翌日になるのでまた明日(笑)。

10月26日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る