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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■何かを得た後で/『怪盗紳士ルパン』(モーリス・ルブラン)
 だいたい、最初のコミックス化のときに、とりさんは「ある大学で学生たちに話を聞いたら、ネタが分からないものがあると言われた」と書いているのである。ちなみに、その大学というのは私が在学していた大学のことで、その「学生たち」の中には私もいた(笑)。
 実はそのとき、この『クルクルくりん』についても私はとりさんに質問をしていて、「どうして『くりん』のドラマは岩井小百合を主演にしたのか」、その理由についても聞きだしているのであるが、もう今更そんなドラマがあったことも覚えている人は少なかろうから、詳述はしない。つか、ビデオテープも残ってないんじゃないのかな。「ポッピン・ショッキン・ドッキン、クルクルマジカルレイディー、私はー、ウワサのー、パラレルガールー♪」って主題歌と高田純次のジェームス吉田だけは好きだったんだが(この番組あたりから高田純次は売り出していったのだよ)。
 まあ、今の若い人によく分からないネタはあろうが、SFコメディマンガとしてこれだけ面白いマンガもそうはない。理想の女性型アンドロイドを作るために、あらゆる女性の性格パターンをインプットされたコンピュータが、爆発事故で破壊されそうになった自らのデータを「転送」する先として選んだのが、生身の人間だった「くりん」の脳だった、というのは、とりさんが卑下するほどハードSFファンに嫌われるような設定ではなかったと思うぞ。


 赤塚不二夫『おそ松くん』22巻(完結/竹書房文庫)。
 「完全版シリーズ」と謳っていながら、少年キング版『おそ松くん』90話のうち、わずか14話しか収録していない。何か理由があるのかな。もう1巻余計に出しても売れないだろうと判断されたとか。一応、この最終巻にあの名作『チビ太の金庫破り』が収録されているおかげでいかにも最終巻って雰囲気というか味わいはあるのだが。
 いやね、赤塚さん、『おそ松くん』の最後あたりはかなり「投げて」描いてるので、これが入っていると入っていないとでは、印象としてはかなり落差が生まれてしまうのだ。だって、最終回なんて、イヤミが赤塚不二夫のケツに踏まれて、「もうマンガには出てやらないざんす!」と怒っちゃったんで連載も終わり、なんていい加減なラストなんである。
 もっとも、赤塚不二夫のギャグマンガの最終回はほとんど全て尻切れトンボなんだけどね。『天才バカボン』なんて、最後に水戸黄門が出てきて「コウモンが出てきたらこのマンガもオシマイなのだ」というつまんないシャレで終わりなのである。
 巻末収録のオマケマンガ、『オハゲのKK太郎』は藤子不二雄との合作(Qちゃんしか出てこないから、作画には藤本さんしか携わっていないだろう)。Qちゃんとチビ太が「どっちが偉いか」を競うだけの他愛ない話で、特に取り立てて面白いマンガでもない。珍しさだけのものだけど、ファンには「へええ」ってことになるんだろう。セリフと絵がうまく合ってないコマがあるのは合作のための不手際なのか、編集が後でセリフを改定でもしたのか。今となっては誰に確かめようもないことである。

09月22日(木)
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