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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■自分で書いてても鬱陶しいわ/『宗像教授異考録』第一集(星野之宣)
 ハカセハカセ、今んとこ、ガスは止められてないからまだ大丈夫です(笑)。


 マンガ、星野之宣『宗像教授異考録』第一集(小学館)。
 いったん連載終了した作品が再開されることは決して珍しいことではないが、『サルまん』の「パート2ものは当たらない」法則は、本作に関しては杞憂だろう。星野ファンの(もしかしたら、高橋英樹ファンもいるかな)ほとんどが、民俗学の泰斗、歴史上の様々な謎について「異説」を唱え続ける宗像伝奇(むなかた・ただくす)の再登場を待ち望んでいたのである。
前作『宗像教授伝奇考』では、当初、宗像教授が伝説の巨人に遭遇するなど、SF色が濃かったものが、後半になればなるほど、かなり本気で歴史の謎に踏み込んで行くことになり、ミステリーとしての特色を強めていくことになる。今回も、遮光器土偶、山本勘助、聖徳太子、インド原始仏教の謎が、宗像教授のフィールドワークによって解かれていく。しかし、やはり本作のベースはSFであって、ミステリーであれば読者が憤然とするだろう宗像教授の「幻視」によって、解答が提示されることも多い。
 しかし、その解決の瞬間 ―― ネタバラシになることを避けるなら、ある人物が遮光器土偶を手にして呟く言葉 ―― のシーンを見たときに、たとえそれが「幻視」であろうと、それが土偶の真実であったに違いないと感じさせる説得力がある。もちろんそれは、星野さんの画力、構成力があればこそだ。
今巻では、『神南火』の主人公、忌部神奈も登場し、宗像と推理バトルを繰り広げる。ファンサービスとして嬉しい趣向であるが、バトルの題材となった聖徳太子の謎が、ほかのエピソードに比べてややインパクトに欠けるのが残念であった。

09月09日(金)
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