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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■危険が迫っていても手抜き/『GUNSMITH CATS BURST(ガンスミスキャッツ バースト)』1巻(園田健一)
と言っても、今回は別に回想話ではない。四季ちゃんが働いてる古本屋「時台屋」がオーナーでもある爺ちゃん・光太郎の横暴で、潰されてしまいそうになる。ところがそこに、突然「結婚直前」の若き日の折さんがタイムスリップしてきて、爺ちゃんに出会って……という展開。だからまあ、これもまた『時をかける少女』のパターンなのだけれども、この手の話に付きものの「奇跡」の描き方が、なかなか上手いのである。
キーワードになるセリフはコレね。
「ねえ、光太郎さん。私たちの未来は、悪いことばかりでしたか?」
目の前に、死に別れた妻が、若き日の姿のままで座っている。彼女は、これから先、自分とどのような未来を築いていくかは知らない。けれども、その未来を現実に知っている年老いた夫に向かって、自分の未来を信じていることを告げているのだ。折さんが爺ちゃんをどれだけ深い愛で信じていることか。作者が何歳なのか分からないけれど、これはなかなか若い人には書けないセリフだ。それが描けたのは、「SF」という仕掛けがあったからこそだろう。
『成恵の世界』は、一般的なマンガファンの間では、数あるハーレムマンガの中の一本に過ぎないみたいに扱われてて、ちょっと損しているなあと思う。これは立派なSFマンガなのに。
所詮はご都合主義である点では違いはないじゃないかという批判に対しては、こう答えよう。確かにご都合主義と言われればその通りだけれども、学園ものとか下宿もので美少女いっぱいものをやられた場合、一応、その世界は「現実」なのだから、ご都合主義はわざとらしく目立ち過ぎて、読者は今ひとつ乗り切れなくなるのだと。けれどヒロインが宇宙人だったり未来人だったり異次元人だったり女神だったりすれば、「価値観がフツーの人間とは違うんだろう」で納得できなくはない。
つか、SFマンガだと、主人公を巻き込むトラブルが破天荒でキャラクターも暴走しまくるから、「なんでこんなフツーのやつがモテるんだ?」って疑問に気付く間もないのである(笑)。今回も和人の影が薄いこと。つか、名前も読むまで忘れてたよ。
08月17日(水)
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