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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■「思想」がらみで映画を見るな/映画『亡国のイージス』
中井貴一は口跡がハッキリしているわりに、どこかリアリティを感じさせない発声で、ちょっと「使いにくい」役者だろうなあと思っていたのだが、これが某国人にはよく似合う(笑)。ヨンファとジョンヒ(チェ・ミンソ)とが実は兄妹であるという設定は映画の中では具体的に語られず、二人の過去に何があったのかもよく分からない。だから「説明不足だ」と文句付けてる人が多いのだが、家族の写真をヨンファが燃やすシーンで、「何かあったのだろう」と察するだけで「映画としては」充分である。そこに文句を付けるのは映画の見方を知らない人間のすることだ。あとは二人の「妖しい雰囲気」(照)を感じておけばいいではないの。
で、いいとこだらけかと言うと、主役の二人が演技的には一番弱い(苦笑)。
如月行の勝地涼君(『1980』で、ともさかりえとエッチしてた子だな)は頑張ってはいるが、アクションに今ひとつ腰が座ってなくて、プロフェッショナルな工作員という感じがしない。真田広之はもう、最近はどの映画に出ても真田広之で。あのいつも鼻で笑ってる演技、役柄を考えて少しは控えるようにしてほしいものだ。
主役二人がイマイチでも、ほかの要素がかなりよいので、トータルではやはり福井三部作では一番の仕上がりになっている。特撮にあまり頼ってないのもポイントが高い。自衛隊のホンモノの迫力には人間の演技はなかなか太刀打ちできないやな。
でも世間にはフ抜けた前二作の方が「ファンタジックでよい」なんて批評もあるから、人の感じ方は全く様々である。まあ戦争なんて現実、ファンタジーとして認識しなきゃやってられないってのはあるんだろうけれどもね。
こないだ買い損なってた『鋼の錬金術師』のパンフレット、デラックス版の方もようやく入手。しかしデラックスと言ってるくせに、たった46ページで1200円ってのはかなりボッてるよなあ。『イージス』がやはり大部でシナリオまで完全収録しているけれども、それでも1000円、『妖怪大戦争』は大判サイズで700円だ。こんなところでセコく稼ごうっての、松竹が未だに傾いたままだっていう証拠なのかな。
(これより本日の日記)
深刻なんだかふざけてるんだか、妻が自殺未遂を働いた。
とだけ書いちゃうと深刻にしか聞こえないので、実態を説明しなきゃならないのだが、しげがやろうとしたのは首吊りでも飛び込みでもなくて、「アイスクリーム死」である。
昨日の夜中、トイレに起きてみると、しげが台所でうずくまっている。
「何してんだよ?」と問いかけてみると、「アイス食ってる」と言う。
様子がおかしくはあったが、私はまだ寝ぼけていたので、「ふーん」と言って便所を済ますと、また寝床に戻った。
それからしばらくして、またトイレに起きたのだが(頻尿なので、3時間もすれば目覚めてしまうのである)、しげはまだ冷蔵庫の前にうずくまっている。
「……何やってんだよ?」
「アイス食ってる」
「さっきもじゃん。いつまで食ってるんだよ」
しげはうつむいたまま返事をしない。こちらもまだ眠いので、「いい加減で早く寝ろよ」とだけ声をかけてまた布団にもぐりこんだ。
その時点で、こいつは「アイスを食いまくって腹を壊して死のうとしてるんだな」と気づいたが、放っておいた。冷蔵庫には二十個くらいアイスを買い込んでおいたが、これを全部食って腹を壊したところで、そうそう死ねるものではないと思ったからである。
朝になったら、しげはおなかを押さえながら、「しょうゆアイスはまずいよ」と言った。どうやら戦時中に醤油瓶飲み干して徴兵忌避しようとしたエピソードを思い出してやってみたらしい。「そりゃまずいだろう」と言って笑った。
「アイス食って死のうと思ったのか?」と聞いたら「あんたに助けられたね」と答える。「特に助けなくてもいいと思ったから放っといただけだよ」と返事をして、「アイスはまだ残ってるの?」と尋ねてみたが、もう三、四個しか残っていないと言う。一人でやはり十数個は食っちゃったようだ。これ以上食われても困るので、残りは私が食うことにした。それでこの件は終わりになった。
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08月08日(月)
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