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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■無意識の戦争/舞台DVD『仮装敵国 〜Seven 15minutes Stories〜』
 ……というのは実は2時間ドラマのクライマックスシーン。三人はみな役者だった。ところがそこにプロデューサーから連絡があって、スポンサーに製薬会社がいる関係で毒殺はNG、撮り直しという事態になってしまう。急遽脚本が練り直されるが、脚本家(八十田)が考えたストーリーはとんでもないものだった……。
 スポンサーの横槍でドラマが混乱ってのは三谷幸喜『ラヂオの時間』にもあった設定で、話がどんどん非現実な方向に進んでいくのも同工。殻は同じでも中身が違うから模倣した印象はないが、だったら三谷幸喜よりも面白くならなきゃいけない。まあ「すごく」とまではいかないが、死んだ仲居を二人羽織で操るギャグが秀逸なので、「少し」面白くなってるというところか。
 ラスト、全体を総括するに当たって、これまでのスケッチをこき混ぜた演出は、一見不条理劇的であるが、実は喜劇の定番のカタストロフ・エンディングである。ケラさんが「筒井の子」であることがよく分かって面白い。

 でも、全体を通してみると、「そこそこに面白い」印象はあっても「すごく面白い」ことにならないのはどうしたことか。これがオムニバスの持つ欠点の一つで、各エピソードに出来不出来が生じた場合、全体的な印象はどうしても「不出来」の方に引きずられる結果になるのである。シティボーイズやラーメンズのようなハイレベルな舞台であっても、それは起きてしまう現象で、それを回避するには「突出して面白い」エピソードが一つは必要になるのだが、今回はそれがなかった。「そこそこ面白い」が、全体として「今ひとつ」という雰囲気を作り出してしまっているのだ。
 先述した通り、松尾貴史の毒を充分に発揮させられなかったこともちょっとネックになっている。でも、こういう「合作スケッチ」の試みはもっともっと作られたほうがいいと思うんで、第2弾、第3弾とシリーズ化してくれると嬉しい。

08月01日(月)
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