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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■彼女がウェディング・ドレスに着替えたら/映画『犬神の悪霊(たたり)』
垂水家への迫害は更に強くなる。家に石は投げられ、村の祭りの日、かおりは、酒をのんだ村の不良たちに犯されそうになる。父親の隆作が山を守るために動けないのは分かるが、妻の君代(岸田今日子。台詞も出番も少なく、もったいない使い方。白石加代子といい、横溝ミステリー出演者が何人も起用されているのも、いかにも便乗映画っぽい)や、かおり、勇をどうして避難させないのか、これが全然分からない。
滝つぼに飛び込んで、かろうじて不良たちから身を守ったかおりを助けたのは竜次だった。村人たちは竜次が犬神の女にとり憑かれた! と、垂水家の周囲に糞便をぶちまける(魔除けになるそうである)。寄り添ううちに、竜次とかおりはお互いに恋情を抱くようになる。しかし、かおりが「ずっとあなたが好きだった」と告白するのを聞いて、竜次は「麗子は僕たちがこうなることを知っていたんだ!」と叫ぶ。
ここでまた混乱である。ということは、呪いの主体はかおりじゃなくて麗子だったってことなのか? 「犬神統」は無関係? いや、それじゃやっぱり犬に襲われたり、ドリルが踊ったりの説明がつかない。
何だかわけが分からないうちに、村人が井戸水を飲んで死亡する事件が発生する。これは、ドリルの暴走に手を焼いた開発会社が、岩盤を硫酸で溶かしたため、それが井戸水に混入したのが原因であったが(「絶対大丈夫だ」とか言ってたくせに、「実は地下で水脈が繋がっていたのだ」と跡付けの説明。いい加減な工事に対する批判だろうが、取ってつけたようである)、村人たちはそうは思わなかった。
磨子が、竜次のところに飛び込んでくる。「村の人たちがバイクに乗って垂水の家に向かってるの見たの。勇ちゃんを助けて!」。慌てて垂水家に向かう竜次。しかし、時すでに遅く、君代、かおり、勇の三人は殺されていた。出かけていた隆作だけが助かったが、家族を失った彼はとことん村人たちを憎むようになる。「やつらがわしらを犬神統と呼ぶなら、本当にそうなってやる!」
もう、映画館の椅子からコケ落ちそうになったのはこの時だ。「犬神の呪い」は、このとき初めて発動したのである! ……ってことは何か? 西岡の狂い死にも、安井が野良犬に襲われたのも、麗子がかおりにとり憑かれたように見えたのも、ドリルが勝手に動き出したのも、全部「ただの偶然か!?」 いや、麗子のケースは犬神とは関係ない本人の怨念と解釈することもできるが、ドリルまではなあ。
雷雨の夜、生き残った犬を連れて山中に入った隆作は、犬を土の中に埋めて放置する。この様子を木の陰から磨子がこっそり見ているのだが、これまで「勇ちゃんを助けて!」と優しい心を見せていた彼女が、このときはただじっと見ているだけで、隆作の行動を止めようともしないのが不自然極まりない。ついに「犬神の呪いよ。村人にたたれ!」と叫んで犬の首を日本刀で斬りおとす隆作(銃刀法違反である)。その途端、雷鳴が鳴り響き、斬られた犬の首は宙を舞って隆作の首筋に噛み付く。倒れ伏し、息絶える隆作を見ていた磨子は失神する。その途端、犬神は磨子にとり憑いた。
呪いの発動は、ウラン鉱業所に落盤を起こし、爆発させる。凄いぞ犬神の呪い。さあ、このチャチな特撮は誰がやったんだ、東映。
竜次は垂水家惨殺を実行した村の若者の一人を日本刀で脅して捕らえ、剣持の家にやって来る。駐在(三谷昇! 映画見ながらずっと「警察は何してるんだ」と思っていたが、ここでやっと登場した駐在が三谷さんなら、無能なのも納得できるのである。これはナイスキャスティング)に本庁に連絡させようとしたが、義父の剛造(鈴木瑞穂)は、電話線をぶち切ってしまう。「お前を助けるために、村人たちが垂水家に行くのを止めなかったんだ!」と叫ぶ剛造(垂水家と関係を持つ限り、竜次も危険にさらされる、ということだろうが、だったらもっと早くに垂水家を村から追い出すか暗殺しとくか、何で処置をとらなかったのかが疑問である)。
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05月03日(火)
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