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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■訃報二つ/『名探偵ポワロとマープル3 雲の中の死』(石川森彦)
 アニメもじきにめでたく放送終了だと思うが、いくらクリスティーファンとは言え(デヴィッド・スーシェ主演版のDVDボックスはしっかり買っているのである)、あれはDVDが出ても買う気になれないのである。


 マンガ、和月伸宏『武装錬金』7巻(集英社)。
 黒い核鉄のために、人類を滅ぼすモンスター・ヴィクターVと化す運命にあるカズキの逃避行編。斗貴子がくっついていくのは当然としても、もう一人の仲間、前巻より新登場の中村剛太のキャラクターが弱いのが難点。つかねー、もう中堅どころと言っていいキャリアがあるのにねー、和月さんが脚本・キャラ作りともに一向に進歩・上達しないこと自体、将来が心配になるんだけどねー。なんつーか、あれやこれやの先行作品からの流用が多すぎるよ。しかもそれを正直に後書きで告白して、「反省」したりするから、かえって評判を落とすのである。技術が上達しなきゃ、反省なんて有名無実だとしか思われないって。
 「いずれ化物になるかもしれない恐怖」ってモチーフもまあ昔からいくらでもあるんだけれど、ちょうどサンデーで夏目義徳の『クロザクロ』が全く同じ展開になってて、こっちのほうがはるかに面白いものだから、比較されるとどうしても和月さんのほうがワリを食ってしまう。何がよくないって、カズキに宿命を背負った悲壮感がまるで感じられない点なので、これはどう言い訳したって和月さんの演出力不足に原因があるのだ。「カズキはあくまで明るく振る舞うキャラだ」と弁護したいファンの人もいるかもしれないが、「明るく振舞うからこそその運命の重さが際立つ」演出がまるでなされていないのである。
 和月さんの実力を考えると、これから先、このマンガが面白くなるとは思えない。なのにファンとして和月さんを見捨てられないのは、前にも書いたと思うが、マンガそのものはつまらなくても、和月さん本人に「人間としての誠実さ」を感じるからだ。誠実でなければ誰が自作の欠点をあそこまで堂々と後書きで書きまくるものか。ほんの少しでも面白くなってくれれば、という淡い期待で、8巻、9巻と続いてほしいのだが、10巻越えての伸びがどこまでか、苦しいところだろうなあと思うのである。

04月08日(金)
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