ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491661hit]
■またもや類友/『Mermaid Heaven(マーメイド・ヘヴン)』(長谷川裕一)
余震、朝方にまた。
夕べも夜中に目覚めたのだが、結局、二時間ほどしか寝ていない。このままだと体を壊しかねないので、しげの通ってる病院に行って、睡眠薬を処方してもらおうかとも思うのだが、しげのへろへろな様子を見ていると、クスリに頼るのがちょっと怖くなるのである。
しげはこないだから余震が起きるたびに「また地震? しつこいって言うか、もう飽きた」と言って、ウンザリな顔をするのだが、いくらしげが文句を言ったって、地震がやむわけでもない。だいたいしげは地震が起きようがクスリが効いているときは全く気が付かずにイビキをかいているのだから、飽きたも糞もないのである。
熱しやすく冷めやすいというか、「根性なし」がしげの本性のようなものだが、今の病院についても最近は「飽きた。転院しようか」とかつぶやいている。医者と患者の間にも相性というものはあろうから、私も転院自体に反対はしない。けれど、その理由としてもう一つ、しげが、「なんか院長先生がオレのことバカにしてるみたいだし」と言っているのは被害妄想が入っている気がしてならない。
いや、しげの言動を見聞きしていればある意味誰でも「バカだこいつ」と思いはするのだが、それは単に事実の認識であって、蔑むこととは別であろう。
「クスリはほしいから、転院するときは院長先生から紹介状を書いてもらおうと思う」と言うのだが、バカにされてると思う相手に最後まで世話を受けたいというのも何だか手前勝手な理屈である。それに転院するにしても、その手の病院で、近場で通いやすいところって、そう多くはない。行った先がまた「合わない」なんてことになって、また情緒不安定に陥ってしまうのも困る。通院するようになって、寝ぼけ癖は増えたが、昔に比べてヒステリックになることはかなり少なくなっているのだ。即座に止めるんじゃなくて、転院する候補先をいくつか物色したあとにしてもらいたいのだが。
職場で、今度私と同じく転勤してきた同僚と世間話をしたところ、この人がまたかなり年季の入ったオタクであることが分かった。
それこそ実写テレビドラマ版『鉄人28号』や『忍者部隊月光』のころの話題から、内容、脚本、作画、声優、演出家に至るまで、実に詳細に覚えておられる。『ハッスル・パンチ』のテーマソングを私が間違えて覚えていたのを、即座に訂正されたので、思わず頭を下げた。試写会マニアで最近の特撮、アニメ映画もよく見ており、並みのオタクから敬遠されてた庵野版『キューティーハニー』も『鉄人28号』もしっかり見ているのである。しかもちゃんとどこそこがよいとホメているから目が高い。
仕事はちょっと残っていたのだが、つい話し込んでしまって数時間、とてもその内容全部は紹介しきれないが、最後はお互いの「コスプレ恥ずかしい過去」までカミングアウトすることになってしまった。あちらは『魔女の宅急便』のキキになったことがあるのだそうな(多分それだけではなかろうが)。「いいじゃないですか、私なんか『油すまし』ですから」と言った途端に「お似合いで」と言われてしまったが、さすがに自分の体型で古代君とかシャアとかシンジくんをやる勇気はないのであった。
しげについて、「うちの女房は変人で」とあれこれとエピソードを披露すると笑われたり受けたり首をひねられたり。首をひねられるのはやはり「ダイエットをしながら肉ばかり食う」
「またそれ見てる。そんなに好き?」としげに悪態吐かれながら『春だサルヂエ大決戦』二時間特番を見る。前はそんなに当たらなかったのが、「慣れ」てきて、ヒントなしでも当てられるものが増えてきて楽しくなってきた。
なぞなぞの答えを叫ぶ私を見ながらしげは「小学生男子みたい」と舌打ちをするが、もちろん精神年齢は小学生に戻っているのだから別に構わないのである。
マンガ、長谷川裕一『Mermaid Heaven(マーメイド・ヘヴン)』(角川書店)。
[5]続きを読む
04月07日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る