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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■『九州発言者塾 第一回シンポジウム 日本国に自立・自尊は可能か』/ドラマ『古都』
川端康成がラリってるときに書いた内容が何もない小説なんだけれども、なぜか映像化が繰り返されている。岩下志麻、山口百恵に次いで二役の少女を演じる上戸彩だけれども、これはどうもミスキャストっぽい。そっくりな双子が登場するからといって、『ふたりのロッテ』みたいに入れ替わりをモチーフにしたわけではなく、自分とそっくりな人間がいることで現実の実感が揺らいで行く、『ウィリアム・ウィルソン』的な幻想小説としての面白さが『古都』の主眼なのである。それを普通のドラマに仕立ててもねえ。
原作読む力のない脚本家と演出家じゃ、それも仕方ないんだけれど、渡部篤郎のストーカー的演技はドラマの中で唯一狂気を感じさせていてよかった。原作のエッセンスをつかめてたの、渡部さんだけだったんじゃないか。
夜、久しぶりのチャット。直前に告知したにも関わらず、宇津見さん、鍋屋さん、あやめさんが参加。ありがたいことである。私としげの二人だけで向かい合わせでチャットするハメになるんじゃないかと心配していたのである。体力的にそうしょっちゅうはチャットは開けないが、またたまに掲示板の方で告知しますので、よろしければちょくちょく覗いて頂けるとありがたいのである。
見逃しかけてた映画関係のニュース。
かなり以前から何度もウワサをされていたのだけれども、OO7シリーズの最新21作目が『カジノ・ロワイヤル』に決定したそうな。
御承知の方も多かろうが、この『カジノ・ロワイヤル』こそが原作者イアン・フレミングが1953年に発表したOO7ジェームズ・ボンドシリーズの第1作で、早くもその翌年、最初に映像化された作品でもある。もっともそれはアメリカのCBSテレビによる"Climax!"という単発テレビシリーズの一編としての映像化で、ボンドを演じたのはバリー・ネルソン(『大空港』『シャイニング』)、敵役ル・シッフルは名優ピーター・ローレ(『M』『カサブランカ』)という布陣だった。アチラではDVDも出ているそうだけれど、残念ながら日本では依然、未公開。当然私も未見だが、バリー・ネルソンの風貌はキザったらしいアメリカンってな雰囲気なので、さて、女にだらしなくても決してニヤケてるわけじゃないイギリス紳士のボンドのイメージに合っていたかどうか。
アルバート・ブロッコリ率いるイオン・プロとMGMによる“本家”OO7シリーズが『ドクター・ノオ(OO7は殺しの番号)』を皮切りにスタートしたのが1962年、当然『カジノ』も映像化候補に挙がっていたのだが、このフレミングの処女作に関してだけはその映像化権をチャールズ・K・フェルドマンが握っていた。てなわけで、彼が1967年にコロンビア映画でジョン・ヒューストン、ケン・ヒューズ、ロバート・パリッシュ、ジョセフ・マクグラス、ヴァル・ゲストと五人の共同監督というムチャクチャな体制で、本家とは全く関係なく作りあげたのがコメディ映画ファンに語り継がれることになる『OO7/カジノロワイヤル』(DVDタイトルからは「OO7」が省かれちゃってるけどね)。この大怪作については語り出したらキリがないから省略するけど、そういった事情で、フレミングの原作が15作で尽きてしまって、オリジナル映画を作らざるを得なくなっても、イオン・プロは『カジノ・ロワイヤル』の映画化だけは断念してきたのだ。
そのあたりの事情に変化が生じて来たのが昨年あたりからクエンティン・タランティーノが『カジノ』をリメイクしたがっているとのウワサ。どうやら今回、MGMとバーバラ・ブロッコリ(アルバートの娘)は、タランティーノの機先を制する意図で、ついに「ジェームズボンド21」として『カジノ』の映像化に着手したと見てよいようだ。……コロンビアから権利買い取るの、高くついたろうなあ。
まあ、タランティーノが作れば映画はまたトンデモナイものになることは分かりきっているので、何としてもそれは阻止しようってバーバラさんは考えたんだろうね。気持ちは分からないでもないが、フェルドマン版『カジノ』のデタラメさを愛する人々にとっては、タランティーノ版が見られないことはちょっと残念に思っているんじゃないかと思う。私もそうだし。
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02月05日(土)
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