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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■また訃報。立て続けだとちょっとツライ。
ユスティノフがポアロに起用されたのは、語学に堪能であった点が買われたのだろう。フランス語訛りの英語を喋るポアロを演じられる役者自体がそもそも少なかったのだと思われる。もともとユスティノフはロシア人を両親に持っているが、ベルギー人といっても通用する風貌だとあちらのプロデューサーたちには考えられたのだろう。日本人である我々には西洋人はみんな一緒に見えるのだけれど。
しかし、いくら名優とは言え、明らかに体形の違うミスキャストを続けられてもファンは困惑するばかりであった。デヴィッド・スーシェのポアロが登場すると、当然のようにユスティノフにポアロの声はかからなくなった。そうなるとあのイヤミったらしかったユスティノフ・ポアロももう一度見てみたくなる気持ちも湧いてくるのであるから、ファンとはつくづく勝手なものだ。
名探偵、ということであれば、ユスティノフはもう一本、高名な探偵に扮している。『オリエンタル探偵殺人事件』(1981)でのチャーリー・チャンだ。中国人に扮するのはいくらなんでもムリがあったが、もともとワーナー・オーランドにチャーリー・チャンを演じさせて平然としていたクニだから、「同じ外人ならオッケー」くらいの感覚でいるのだろう。このあたりのどうしようもない出来の映画にもユスティノフは何の衒いもなく出演して、しかも思い切り手抜きの演技をしていたから、果たしてこの人は名優と言っていいのかどうかと首を傾げたくなったものである。
遺作はマルティン・ルターの伝記映画『Luther』 (2003)。共演者に同じくポアロ役者の一人であるアルフレッド・モリーナがいるのは奇縁であろうか。
03月29日(月)
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