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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■神ならぬ身なれば/映画『不連続殺人事件』/DVD『レトロスペクティヴ シティボーイズライブ! 1992−1994』
 映画を見るか小説を読むかとはよく言われることだが、まずは安吾が純然たる「ゲーム小説」として書いた原作を賞味して頂くのが順当だろう。
 『不連続』に始まる「巨勢博士シリーズ」には、長編『復員殺人事件』(中絶のため続編は『樹のごときもの歩く』と題して高木彬光が執筆)、短編二作『選挙殺人事件』『正午の殺人』がある。これは全て『坂口安吾全集11』(ちくま文庫)で読める。11、12巻には『安吾捕物帖』も収録されており、これは勝海舟を狂言回しにした最上質の短編ミステリ集なので、ぜひご一読を請うものである(昔、NHKで連続ドラマ化されたこともあるのでご承知の方も多かろう)。安吾が若死にしなければ、もっともっと探偵小説を書いていたことだろう。
 野田秀樹も「坂口安吾の生まれ変わり」とか嘯いてるなら、巨勢博士シリーズを続けて書いてみろと言うのだ(もちろん彼が生まれ変わりではない証拠はいくらでも出せるが、その一つに、野田秀樹はドストエフスキーの『罪と罰』を探偵小説として評価しているが、安吾は生前にそれを『私の探偵小説』の中で「暴論」と切って捨てている事実がある。好きならエッセイまでちゃんと読んどけよ、野田秀樹)。

 『不連続殺人事件』は、後に1990年11月、フジテレビの「男と女のミステリー」枠で「昭和推理傑作選」と題して再映像化されている。脚本は安倍徹郎、演出は若松節朗。2時間の枠に収めるためにかなり人物が整理されている。例えば巨勢博士、八代寸兵、八代京子の三人は巨勢博士(野村宏伸)一人に統合された。
 他のキャストは以下の通りである。映画版と比較するのも一興だろう。
 
 歌川一馬(古尾谷雅人)
 歌川あやか(佳那晃子)
 歌川珠緒(芦川よしみ)
 歌川多聞(内田朝雄)
 宇津木秋子(松本留美)
 明石胡蝶(白都真理)
 南雲千草(あめくみちこ)
 杉江下枝(万里洋子)
 川北加代子(浅野愛子)
 八重(石井富子)
 絹代(絵沢萌子)
 諸井琴路(中尾ミエ)
 平野警部(山谷初男)
 車掌(ラサール石井)
 荒刑事(山田辰夫)
 望月王仁(原田大二郎)
 丹後弓彦(ベンガル)
 人見小六(河原崎健三)
 三宅木兵衛(速水亮)
 内海明(ビートきよし)
 海老塚医師(西岡徳馬)
 土居光一(神田正輝)

 こちらはなんとなく元アイドル総登場と言った雰囲気だ(^o^)。芦川よしみも最近見ないなあ。万里洋子も浅野愛子も当時は清純アイドルとして売ってたものだったが、お決まりのヌードから引退というパターンを辿った(と思う)。絵沢萌子は映画版にも登場しているが、テレビ版では待合(連れこみ旅館のこと)のおかみ役。個人的には巨勢博士と推理合戦を繰り広げる腹の知れぬ弁護士、神山東洋がカットされたのは残念である。
 近親相姦ネタは避けて、巨勢博士と加代子の間にほのかな愛情を感じさせるなどのアレンジは推理ゲームとしては余計であるが、テレビドラマの性格を考えるといたし方のない改変だろう。当然、内海明も傴瘻男ではない。


シティボーイズDVDボックス1、『レトロスペクティヴ シティボーイズライブ! 1992−1994』、立て続けに鑑賞。
 舞台のテレビ放映はどうしても魅力が半減してしまうが、シティボーイズは比較的その魅力が減殺しない珍しい例である。すごく単純なことだけど、セリフの間がちゃんと取られているから、耳で聞いてるだけでも面白いのだ。小劇場の連中が、夢の遊眠社についても第三舞台についても、ビデオ映像になると途端につまらなくなるのは勢いだけで間がなっちゃないからなんだよね。ああ、あと、セリフ回しも芝居も一律で、キャラクターも全然演じわけられていない。しょっちゅうトチる(^_^;)シティボーイズのお三方より、つまんない芝居しか作れなかったのはなぜか、小劇場出身者はもちっと考えた方がいいよ。
 収録されているのは『鍵のないトイレ』『愚者の代弁者西へ』『ゴム脳市場』の三本。けれどWOWOW放送時より、随分カットされている。
 『鍵のないトイレ』は、本編のカットはないが、楽屋裏インタビューと、ラジカル・ガジベリビンバシステムの紹介映像がカット。

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07月23日(水)
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