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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■メイキング・オブ・SF・レビュー/『川原泉の本棚』(川原泉・選)/映画『宇宙大戦争』『地球防衛軍』
> 『火星年代記』(ハヤカワ文庫 NV 114) レイ・ブラッドベリ (著), 小笠原豊樹 (訳)¥640
> ブラッドベリをSF作家と認めたがらないSFファンも結構います。
>「あれはファンタジー作家だ」
> この本が「SF」じゃなくて「NV」のコーナーにあるのもそのせいかもしれませんが、SFと叙情性の融合がこれほど見事に描かれている例はそう多くはありません。強いて言えば、ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』オリジナル版くらいでしょうか。
> 地球から火星への移民が始まったころの未来。
> しかし、火星ロケットの乗組員たちは次々に失踪してしまいます。
> 実は火星には、「先住民」たちがいたのです。彼らは当然「侵略者」たちを好ましくは思っていませんでした。彼らはいかにして、侵略者たちを排除していったか。
> ……それでもなお続けられる移民計画。
> そして時は静かに流れていきます。
> 火星人と地球人の戦いはどうなったのか。最後に火星の大地に立っていたのは……。

 時が静かに流れているのは、その間にどんな出来事があったかを忘れているからである(^_^;)。……しまった、映画版のビデオを見て、書きゃあよかったか。


 CS日本映画専門チャンネルで、『宇宙大戦争』に『地球防衛軍』。
 『防衛軍』の方は、これで見たのが何度目なのか、分らないくらいだが、『大戦争』は実はまだ二回目。こちらの方は前者に出てくる「モゲラ」のような明確な怪獣(じゃなくて巨大ロボットだけど)がいなかったから、テレビで流れていても見逃していたのだろう。最初に見たのも多分小学生のころだから、記憶もとうに歴史の彼方(^o^)。
 てなわけで、『大戦争』は殆ど初見に近く、ニュートラルな感覚で見たので、意外に面白かった。ナタール人の基地破壊のシーンは単調で、ちょっと退屈してしまったが。

 意外に気づかれていないが、この二作は前後編である。
 放送順が逆になっているけれども、『地球防衛軍』が1957年の製作で、『宇宙大戦争』が1959年製作。
 原作は探偵作家・丘美丈二郎(映画のクレジットは「丘見」となっているが、こちらが正しい)。両作とも、宇宙人による地球侵略がそのテーマとなっていて、登場人物も、地球側で宇宙人の侵略に対抗するのは安達謙治郎博士である。ただ、安達博士を演じているのが『防衛軍』では志村喬、『大戦争』では千田是也と役者が変わっているので、前後編であることに気づかれにくいのだ。
 この後、『妖星ゴラス』と『宇宙大怪獣ドゴラ』と日本の東宝特撮映画の原作を担当しているから、それも含めれば丘美丈二郎四部作ということもできる。ただ原作と言っても、小説の形で書かれているのは『地球防衛軍』だけのようだ。

 映画については、いっぱしの特撮オタクなら当然見ているはずだし、今更あらすじを解説するのも気恥ずかしいから、比較的知られていないと思われる原作者の丘美氏について触れてみたい。たいていの人は映画を先に見て、「この丘美って人、どんなヒト?」と思っただろうが、探偵小説ファン、SFファンには旧知の人物なのである。
 丘美丈二郎は、本名兼弘正厚、1918年(大7)、大阪出身で、東京帝国大学工学部卒業後、しばらくは進駐軍に勤務。日本の役人の、米兵へのヘイコラぶりに嫌気がさし、鬱憤バラシに探偵小説・SF小説を書き始める。
 1949(昭和24)年、『翡翠荘綺談』が『宝石』のC級短編コンクール三席に入賞し、『別冊宝石』に掲載それ、以後、『宝石』を中心に10年ほど活躍する。
 1950(昭25)年には、『勝部良平のメモ』が『宝石』のB級中編コンクールの二席に入賞、1953(昭28)に『宝石増刊』に掲載されたSF長編『鉛の小箱』が、1954(昭29)年に第7回探偵作家クラブ新人奨励賞を受賞する。
 他の作品に、『三角粉』『空間の断口』『空坊主事件』『耳鳴りの女』『ヴァイラス』『種馬という男』『二十世紀の怪談』『恐怖の石塊』『左門谷』『汽車を招く少女』『ワルドシュタインの呪い』『波』『電波公聴機』など。掲載誌を全部当たったわけではないので、発表年は順不同。

 中でも、特筆したいのは、長編『鉛の小函』と、『宇宙の警鐘』の二作であろう。

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02月19日(水)
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