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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■いろいろあらあないろいろね/映画『火山高』/映画『黄泉がえり』/『爆笑問題とウルトラ7』(爆笑問題ほか)
 で、その七人というのは、なぎら健壱・立川談志・淀川長治・小林信彦・橋本治・山田洋次・ジョン・アーヴィング。雑誌掲載時に読んだことがあるものもあるが、殆どが初読。
 コメディアンで番組のパーソナリティーをしている人は多いから、みんながみんな話し上手、聞き上手かというとそうでもなくて、ハッキリ言っちゃえば、爆笑問題の二人は、対談の相手としては頗る不向きである。太田光は特にそうだが、聞きどころと言うかインタビューのツボをことごとく外してしまうのだ。
 何と言うか、中学生が学校紹介ビデオを制作することになって、校長先生にインタビューするんだけれど、話を膨らませようとして「校長先生の趣味はなんですか?」とか関係ないことを聞いちゃうようなイタさね、それがあちこちに散見しているのである。
 じゃあ、この対談本がつまらないかというとそんなことはなくて、余りにこの二人が役立たずなものだから、ゲストがみんなホスト役になってしまうという逆転現象が起きる。何も聞かれなくても喋ってやったり、爆笑問題の方に質問したり説教し始めたり(^o^)。
 立川談志と小林信彦は、多分、本人同士は仲が悪いと思うのだが、同じように爆笑問題を「見限って」いるのが面白い。
 談志師匠は、モロにストレートに「金、溜めとけよ」である。落ち目になったら、「俺のように教祖みたいになっちゃえばいいや」なんて言ってるけど、内心、なれやしねえ、と思っているから「金溜めろ」発言になるのである。意地の悪いオッサンである。
 小林さんの「芸が本当にいい時というのは短いものですよ。違いますか?」という質問に、太田光、「僕もすぐ見切られるなと思います」と受ける。既に見切ってるからこそ、前記の質問になってるってのに、気づいてないんだなあ。更に小林さんは「そういうふうに受けとるっていうのは、やっぱりあなたのキャラクターだよね」と否定はせずに受け流すのだから、全く陰険なオッサンである。

 テレビを余り見ない私には、「爆笑問題の旬」がいつだったのかはよくわからないが、『ボキャブラ天国』の初期の頃の爆笑問題には笑わせてもらっていた。今となっては冗談のように聞こえるかも知れないが、私は太田光に日本のバスター・キートンになるべき資質を見ていたのである。それは当時、太田光が自らを全く語らず、またニコリともしなかったからだが、今の彼は実に自らをよく語る。そういうコメディアンに対して、「普通の客」は全く笑いはしないものだ(だから今、爆笑問題の二人を見て笑っているのは普通の客ではないのである)。
 この二人が未だに「売れている」ように見えるのは、スタンピード現象と同じで、みんなが「売れている」と思いこんでいるからだろう。この波に乗って、『笑っていいとも!』のような長寿番組に腰を落ちつけることができたなら、あと10年は持つんじゃないかと思うが、持たなかったからってどうでもいい位置に爆笑問題がいることがちょっとツライだろうな、と思うのである。タガが一つ外れると、いつの間にかレギュラーが一本もない、というエアポケットに落っこっちゃう危険性を孕んでいるからだ。

 なんだかゲストのことに殆ど触れてないけどね、さっきも書いたとおり、この二人がゲストにいかに「あしらわれているか」、そのオタンチンぶりを書いてったらキリがないのよ。興味を持った人は各自、中身については読み解いて下さい。

 ただ、「『注釈』が必要だよなあ、これは」と思った箇所がいくつかある。いや、小林さんとの対談の部分じゃないです。だからねー、あの「韜晦」に全部注釈を付けてたら、もう規定枚数なんかふっとびますって。少しは「分る奴には分る」って書き方、控えてくださいよ、小林さん(T∇T)。
 一つは、216ページで、山田洋次監督が「シャレた映画」として紹介している、ウディ・アレンの映画について。
 「昔、東宝で作ったスパイ映画があって、三橋達也さんなんかが出てたのかな。ウディ・アレンが、そのスパイ映画を買いとって英語に吹替えたんだって。人に聞いた話だから正確じゃないけど、でたらめな台詞にしたり、オカマの言葉にしたり」

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02月14日(金)
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