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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■言語作用としての2ちゃんジャーゴン/『POPEE THE PERFORMER ポピー ザ ぱフォーマー』(増田龍治・増田若子)ほか
 マンガ、増田龍治作・増田若子絵『POPEE THE PERFORMER ポピー ザ ぱフォーマー』(講談社/KCピース・1200円)。
 タイトルの「ぱフォーマー」の「ぱ」だけが平仮名なのは誤植にあらず。
 CSキッズステーション制作のCGアニメのコミック版だが、アニメの方のタイトルは『POPEE the ぱフォーマー』とアルファベットも字体もバラバラなのでややこしい。
 コミック版は当然CGじゃないんだけれども、そのギャグのレベルはアニメ以上にシュールで意味不明で、もう私にはおもしろいんだかつまんないんだかわかりません(^_^;)。
 アニメは最終回以外は全くセリフがないマイムものなんで、実は設定がよくわかってなかった。なにしろ「ポピー」という名前さえ、本編中で呼ばれたことはないのである。もちろんワザとわかんなくしてはいたんだろうけれど。
 解説によれば、「ポピーは17歳。クラウンと呼ばれるサーカスでの道化俳優見習い。ヴォルフ・サーカス団に所属していて、助手のケダモノとともにサーカス一座を盛りあげようと日々訓練に励んでいます」ということだけれど、なぜか舞台は誰もいない砂漠なんだよね。
 なんでかなあ、と思っていたら、「製作費がバカみたいに安く、制作期間もウソのように短いので、回りに何もない砂漠が一番作りやすかったから」だそうな(^_^;)。それでアレだけのクォリティのものが作れたんだから、やっぱりセンスは大事だね。
 とは言ってもこの制作者夫婦のセンス、決してマトモとは言えない。もともとの予定タイトルは『着ぐるいポピー』。そりゃテレビじゃ通らんわ(^_^;)。

 マンガの方にはアニメと違ってセリフがあるものもある。けれどセリフが「意味を伝える」ものであるとしたら、これはもうセリフではない。何も伝えようとはしていないからだ。その点では吉田戦車的ではあるね。
 例えば「砂かけ母」。
 レオタード姿の母親が、四つんばいになって後足で砂を蹴って、娘にかけている。娘は手を差し伸べて言う。「お母さんもうやめてよ」。
 母は悲しげに答える。「あんたにしてやれる事はこれ位しか無いの」。
 なんだかよくわからないが、何がスゴイってこの母娘、このマンガのレギュラーキャラでは全くないってことだ。ナニモノだよ、この二人(^_^;)。
 それにしても、アニメ以上に毎回ポピー死んでるなあ。

 ほとんどの話がマンガ版のオリジナルだけれど、最終回だけがアニメ・マンガともにオチだけちょっと変えて共通。
 ケダモノはいなくなってしまいました。
 だからこの話に続きはありません。
 ちょっと寂しいけど、この二人の新作、『ガラクタ通りのステイン』に期待しましょ。今度はもう少し予算が増えたみたいですから。
 

 しげがDVDを何かかけながら寝る、と言うので、久々に『名探偵ポワロ』を見る。今回は第5巻の『夢(The Dream)』。原作小説の方は未読である。
 大手パイ・メーカーの社長、ファーリーに呼ばれたポワロ(本当は「ポアロ」と表記したいところだけど、テレビタイトルがこうなってるから仕方がない)は、毎晩自殺する夢に悩まされている、と相談を受ける。やがて彼は死体で発見されるが、その状況は彼が夢で語った通りだった。
 長編に比べたら短編は苦手、というのがクリスティーについてよく言われる批評だが、これもトリックがどうにも古色蒼然としていて、現代の目で見ればいささか荒唐無稽な印象を受けてしまう。何よりこれは小説のトリックとしてはまだなんとか成り立ちはするが、映像にしちゃうともうバレバレなんである。犯人、よくこんなチャチなトリックでポワロの目をごまかせると思ったよなあ。
 と言っても、ポワロほどの頭脳がなくとも、ミステリーのセオリーをある程度知ってる視聴者なら、定番通りの発想を辿って、容易に犯人もトリックも見破ってしまうだろう。だいたい被害者がノイローゼで自殺したなんてことはありえないって前提で考えれば、誰が何のためにトリックをしかけたのか、すぐに気づくでしょ。
 トリックのレベルとしては、下の上クラスかな。

01月17日(金)
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