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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■殺伐とした日々/『吼えろペン』6巻(島本和彦)/『バラバラくん』1・2巻(唐沢なをき)/『百鬼夜行抄』10巻(今市子)ほか
 3月に『奇跡の人』を見に上京するのだけれど、これはもう「当たり馬券」を取りに行くようなものなのである。わざわざ高い金払って東京くんだりまで行くのだから、そりゃハズレは引きたかあない。けれど「ハズレ馬券」の可能性が高い『百鬼』を見たいというのも、これ、オタクのサガなのである。
 とは言え、オタクが細分化されちゃってる現在、今市子に興味があってしかも花組芝居やわかぎえふの名前にワクワクする人ってのも少ないだろうからなあ。誰か見に行こうってバカはいないかな。

 さて、10巻を経ても息切れせず佳作を描き続けるこのシリーズ、『BSマンガ夜話』でも取り上げられてるんだから、いい加減でもうちょっとオタクの間で話題になってもいいと思うんだがなあ。今巻もなかなか諸星大二郎してる『枯れ野』を始めとして、怖いような笑えるような微妙な世界を五つの短編に展開。
 全部を語る余裕はないので、もう一人の飯島律、飯島開について。
 前巻で26年ぶりに異界から帰ってきた開伯父さんだけれど、蝸牛の息子たちの中では一番「見える」人だったようだ。今回、『闇は彼方に佇み』では、早くもその「能力」ゆえに、トラブルメーカーとして律たちに多大なメイワクをかけていきそうな気配を濃厚に見せてくれている。姿は46歳でも心はハタチってんだから、それも当然かな。律の母さん曰く、「開さんは自信過剰なのよ」(^o^)。
 開の処遇をどうするかで急遽開かれた「家族会議」。蝸牛の娘、息子たちが久しぶりに一同に会する。わあ、10巻記念なのか、超豪華キャストだね。
 その中でも、次女の環と三男の開は、ちょうど司と律の関係をそのまま映したかのように「因縁」で結ばれていた。かつて彼らは「あるもの」をいっしょに飼っていて、そして捨てた。環は「それ」が何か気付かなかったが、開はそれを封印しなければならないことを知っていた。それは蝸牛がかつて封じていた幽鬼の一匹だったのだ。
 失踪中の26年の間に、死体を食らい、巨大になっていた幽鬼。環のもとに帰ろうとするそれを開はいかにして屠るか。
 ……ってな、えらいシリアスな展開を見せときながら、オチがアレとはねえ(^_^;)。いや、そこが今さんらしくていいんだけどね。
 あとがきマンガを読むと、今さん、結構行き当たりばったりに描いてるようだけれど、それがこれだけの整合性を見せているとは全くどういう才能だろう。ホラーを描こうと考えている人は、須らく今さんの語り口を参考にすべきであろう。


 マンガ、とり・みき『遠くへ行きたい』4巻(河出書房新社・998円)。
 もう廃止されてるのに文春漫画賞受賞って未だにオビに書いてあるぞ。箔付けになってるんだかないんだか。
 しかし、まだこのマンガを読んだことがない人にその面白さを伝えるのにはどうしたらいいのか。
 タテ×ヨコ3コマ、計9コマのサイレントマンガである。
 そこで行われているのは常に「意味の解体」、ひとコマ目で「あるもの」と見えていたものがコマを追うごとに変容し、全く別の「あるもの」として現われ、読者の意表を突く。その変幻自在ぶりはともすれば四角四面なコマワリ自体を破壊し、なにが面白いのか分らなくなってしまうくらいだ。
 ……まるで誉めてないみたいだなあ。誉めてんだけど。
 いや、ホントに文字にするとその面白さって伝わんないのよ。
 例えばあるマンガ(50ページ)の内容を説明するとこうだ。主人公のタキタくん(とりさんの友人、田北鑑生氏がモデル)が、大地を歩いている。突然足元に現われた五本の線。その源を辿る旅に出るタキタくん。延々と旅を続け、その地平の果てにタキタくんが見たものは……ト音記号。
 ……うーむ、やっぱり文字で書くと面白くない。でもマンガで読むと面白いんだってば。

 私のお気に入りのやつは、テレビの歴史をいつもと違って36コマで辿るミニマンガ(68ページ)。なつかしモノには引っかかりやすいのだね。でも、これがいくつかよく判らんのがある。誰か知ってる人がいたら教えてくれ。
 1、『ジェスチャー』。映っているのは柳家金語楼。私が生まれる前から放送されてたけど、10年近く放送してたので私にも記憶がある。

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12月16日(月)
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