ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491718hit]
■アニソンしか歌えないわけじゃないけど/DVD『千と千尋の神隠し』/『吼えろペン』5巻(島本和彦)ほか
人気がなくて1年で連載終了しちゃったんだけども、私は好きだった。……でも作者にとっては封印したかったマンガらしい(このあと島本さんは『とつげきウルフ』の連載もコケて『サンデー』から離れる)。
作中、島本……ああ、いやいや、炎尾燃がアシスタントたちに向かって叫ぶ。
「おれはその時、ボクシングマンガを描きたかったのだよ、実は!」
「同じ時期に同じ雑誌でほかのマンガ家がボクシングマンガを連載していたとしたら!?」
「だから、おれはテニスを通じてボクシングを描くしかなかった!! しかたがなかったんだ!!」
……血の叫びである(^_^;)。当時サンデーのボクシングマンガって言ったら、六田登の『陽気なカモメ』あたりかなあ。作風違うから気にすることなかったと思うけど、これがオトナの事情というヤツなんでしょうね。でもテニスマンガじゃなくても、ちゃんと島本さんしてるから恥ずかしがることないと思うんだけどなあ。
恐ろしいことにこの『燃えるV』(作中では『ウインブル首領(ドン)』)を読んでテニスプレーヤーを目指した愛田風美(モデルは杉山愛か?)から電話が炎尾プロにかかってくる。「先生が私の『生みの親』なんですよ!」
そんなこと言われても……と誰しも思うであろう。それがよっぽどメジャーな作品ならね〜、苦笑するくらいですむだろうけれど、なんたってもとが『燃え……ウインブル首領』じゃあねえ(^_^;)。愛田も愛田だ、それじゃまるで『GOGO!レッドソックス』読んで野球選手目指したり、『キックオフ』読んでサッカー選手を目指すようなものではないのか。
結局、なりゆきで打ち切りにあった連載の「真」の完結編を描くハメになった、炎尾、なんと「主人公が実は女だった!」と設定を変えて愛田に差し出すが……。
「なんか結末を見たら、べつにどうでもよくなっちゃった! あんなマンガ!! 今、私は大人になったんだわ! ありがとう炎尾先生!! ありがとうございました、結果的に!!」
……ああ、痛そう(хх。)。ホント、自分の身を切りながらギャグ作ってるよなあ、島本さん。自虐ギャグってのはもう少しチクチクくるものだけれど、島本さんの場合は自爆しまくってるからなあ。ほかにもこの巻、過去のマンガの滑ったネタを全て「妖精さん」のせいにしてたり、ここまで自分を切り売りするかってネタが続出。少し煮詰まってきてないか、島本さん。
しげはこういう作者が自分自身をあえて貶めるギャグがホントに好きで、椎名高志の『GS美神』でも、「まさかもう一度アニメ化!?」「それはない、それはないんだよ……」「ああっ、血の涙!」ってギャグを見て大口あけて笑ってた。人間として最低なヤツだということがよく分るなあ。
気がついてみたら、『吼えろペン』ももう5巻。『サンデーGX』の中では一番厚く熱い連載になっているけれど、もしかしたらこれが『ほのてん』を越えた島本さんの代表作になるかもしれない。つーか、既に巻末の広告では「島本和彦21世紀の代表作!!」とアオリがついているぞ。いいのかホントに。
07月21日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る