ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491718hit]
■漫画映画復活!/映画『猫の恩返し』/『ああ探偵事務所』1巻(関崎俊三)/『美女で野獣』1巻(イダタツヒコ)ほか
ハッキリ言うけど、「カッコよさ」という点ではジブリ作品中、これが最高傑作だ。ラストに至るまで『長猫』のリメイクっぽいことにマイナス点をつける人もいるだろうが、肩肘張った辛気臭いアニメばかり延々と見せられてきた身にしてみれば、理屈抜きの大エンタテインメントを作ってくれた森田監督に大感謝である。
宮崎さんに高畑さんよ、こういうのを見たかったんだよ!
もうエコだのなんだの作品に盛り込むのやめてくれ。あんたたち程度の才能じゃ、とても映画にゃできないモチーフなんだから。
しげはハル役の池脇千鶴の声がイマイチだったみたいだけれど、少女マンガのヒロインとしてはきちんとハマってる。「これは違うだろう」ってキャストが一人二人はいた今までのジブリアニメと違って、みんな、キャラを掴んでるよ。袴田吉彦のバロンは『耳をすませば』のときの露口茂より若返ったけれど、これも妥当だろう。何より、猫王の丹波哲郎! 『クレヨンしんちゃん 爆発! 温泉わくわく大決戦』での本人役(^o^)もよかったけれど、今回のロリコンエロオヤジ猫もいいわ。ハルを息子のヨメにするのがダメなら、自分のヨメにって、こんなの少女マンガのキャラじゃないって(^_^;)。悪役が憎みきれないやつと言うのも『長猫』以来の伝統だわな。
あ〜、『スターウォーズ』の20倍は面白いから、みなさんも見てね。
マンガ、関崎俊三(かんざき・しゅんみ)『ああ探偵事務所』1巻(白泉社/JETS COMICS・530円)。
だから「探偵」ってタイトルに付いてるだけでどうして衝動買いしちゃうかな(^_^;)。
あー。本格ミステリではありませんでしたね、いや、タイトル見た瞬間、ギャグだろうな、とは思ったけれども。けれど買って損した感はなし。それどころか、なかなかツボを抑えたシチュエーションコメディになってるよ。
タイトルの「ああ」って、感動詞だと思うでしょ。それがさにあらず、探偵事務所の名前なんである。電話帳の一番最初に載るから付けたって、発想が亜愛一郎だねえ。主人公の探偵妻木(名字だけで名前がないあたりがハードボイルドっぽいね)は推理オタクで、依頼人の素性を勝手に推理してはことごとく外して、胡散臭がられている。今日も「失踪した兄を探してほしい」と依頼してきた井上涼子に「あなたは音楽教師をしている。声の発声もいいし指の爪をきっちり切ってある」と断定する。でも彼女はただのOL。妻木の推理が幸運にも的中し(普通は「まぐれ当たり」というのだ)、事件が解決した後も、ビンボーであまりに哀れな妻木のために涼子は「ボランティア」でOLの傍ら、探偵事務所の助手をすることになる。
探偵の情けなさぶりと、それをサポートする助手って図式が、松田優作の『探偵物語』の路線だなあ、とは思うけれど、毎回の事件に工夫が凝らされていて、本格推理的興味には欠けるけれどもなかなか面白い。
「見合い相手の弱点を調査する」
「公園のラクガキ犯を捕まえる」
「刑事の覗き現場の証拠を掴む」
「ペットのペンギンを探し出す」
「盗まれたアニメセルを取戻す」
などなど。普通の探偵マンガと違うところは、犯人がまあなんというか、筒井康隆の言う境界の方々ばかりだというところでしょうか。だからネタ的にはギャグだけど、結構都会の陥穽っつーかリアルなとこ突いてるんだよね。たとえば公園のラクガキ犯は自称「天才アーチスト」で、自らの芸術性を世間に知らしめるためにやってたわけだ。実際には暴走族のラクガキとレベル変わんないんだけど、本人だけはそうは思ってないという。いるよね現実に(^_^;)。
お宝アニメセル盗難事件のアニメは、往年の名作『ヒマラヤの不思議少女ナマステ』(おいおい)。ネーミングはどうかと思うが、アニメスタッフがみんな人間の基準から少しばかり離れた顔をしているいうのは、意外に偏見ではないかもしれない(~_~;)。やっぱオタクって世間的には境界の人って思われてるんだよなあ。
作者、ジャンボ鶴田と同窓だったそうだけど、となると結構トシ行ってるんじゃないか。このマンガの前にもいろいろ作品発表してるみたいだけれど、気がつかなかったな。やっぱりまだまだマンガの世界は奥深い。
[5]続きを読む
07月20日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る