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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■それさえも平穏な日々/『脱ゴーマニズム宣言』(上杉聰)/『潜水艦スーパー99』(松本零士)ほか
 「なら、朝鮮人にだけ補償して、日本人はほっとけ」と言いだすヤツもたまにいるけど、そうなるとこれがもう戦後補償や差別や迫害云々の問題ではなくて、単に日本に「復讐」したいって低劣なレベルの主張でしかないことが顕在化しちゃうよね。それはやっぱりしちゃいけないことなんだよ。
 誤解を招きそうだから、これもハッキリ書いておくけど、私は「朝鮮人慰安婦に補償をするな」と言いたいのではないのだ。補償はしようよ、やったことはやったことなんだから。国にできないことなら、「民間補償」しか手はない、そう考えてるんである。日本人なら、そのことはすぐに見当がつきそうなものなのだが、それでもあくまで「国家補償でなきゃダメ」って主張する人たちがいるんだよねえ。それは、やっぱり「左」の方々なんであって、イデオロギーや政治的な立場で発言してるだけなのである。そのことを隠して、「善意」を振りかざしている上野さんの偽善性が、私はどうにも好きになれない。
 やっぱり「小林よしのりに賛成する人間も反対する人間もトンデモ」って法則は成り立っちゃうんだねえ。
 

 マンガ、松本零士『潜水艦スーパー99』(秋田文庫・760円)。
 どっひゃあああ!
 まさかこんな「古典」まで文庫で復活とは、長生きはするもんである。なんたって初出が1964年の『冒険王』だよ。この日記読んでる人で、連載読んでた人間、どれだけいるって言うんだ。私だって連載時には読んでない。子供のころ“貸本屋”で当時の単行本、サンデーコミックス全二冊を10円で借りて読んだ。ははは、ざっと30年前ですな。
 松本零士と言えば『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』と思いこんでる若いファン(と言ってもそれすらオタクん中じゃ旧世代になっちゃってるけどよ)には「松本零士って海洋モノも描いてたの?」とびっくりした方もおられるでしょうが、私たちの世代には、『ヤマト』以前にはこっちのほうが松本さんの代表作だったんですよ。しかも当時、海洋モノでは小沢さとるという大御所がいらっしゃって、『青の6号』『サブマリン707』と傑作を連発してたんで、松本さんの『スーパー99』はどうしても二番煎じの印象が強かった。
 松本さんがブレイクしたのはむしろ『男おいどん』のような四畳半モノで、初期のSFものはことごとくコケてたんですよ。そのころの印象が強いもので、私などはどうしても松本さんはSF作家としては二線級、と思いこんじゃってたんですね(ホントは『ヤマビコ13号』のような傑作を描いてたんですけれど子供のころは知らなかった)。
 『ヤマト』の本放送だって、第1話見て、「なんだ、『スーパー99』のリメイクじゃん」と思って、最終回まで見なかった(今でも『ヤマト』はたいした作品とは思っていない)。松本さんって凄いなあ、と考えを改めるようになったのは、その代表作たる『男おいどん』をSF化した『銀河鉄道999』を読んでからなのだね。イヤハヤ、松本さん以外の誰に、「大宇宙の大四畳半」なんて呆れたイメージを思い付けるものか。

 『スーパー99』に話を戻せば、実際、ストーリー展開や細かい設定、ネーミングなどに、後の『ヤマト』のモチーフとなったものが随所に見られる。西崎義展との原作者争いで負けちゃったのが不思議なくらいである(まあ、『ヤマト』を宇宙に飛ばすってアイデアは西崎さんのだから、しかたないけどね)。
 ナチス・ドイツの流れを汲み世界征服を企む秘密組織・ヘルメット党の侵略から地上を守るために、科学者である父の開発した新造潜水艦スーパー99に乗り込む少年、沖ススム。誰かと誰かを合体させたような名前だけど、こっちのほうが当然元祖(^o^)。「侵略者を撃て」ってのは定番だとしても、敵はやっぱりドイツ系になるんですねえ。昔から思ってたことだけど、ドイツ人が『ヤマト』や『銀英伝』見たら本気で怒りゃしないか(『銀河英雄伝説』のドイツ語タイトルのスペルが間違ってて、ドイツ人から『銀河狼伝説』になってたという指摘があったことはなにかで読んだことがあったが)。
 総統の名前がルドルフ・ヘチだなんてのも、もう少し工夫のしようはなかったのかって文句つけられそうだけれど、60年代のマンガ家のネーミングセンスは概してこんなもんなんだよね。

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07月17日(水)
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