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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ある事件の記憶/DVD『アベノ橋魔法☆商店街』vol.1/『奇妙な論理T・U』(M・ガードナー)ほか
 アニメーターの石田敦子さんがエッセイ『愛を追いつめろ!』の中で、伊藤俊人さんとナンシー関さんを追悼している。ひとことだけ、「たださみしい」。
 何万言を費やすより、ジンと来る。石田さんも多分、同世代。


 角川書店『Newtype』8月号。
 林原めぐみの『愛たくて逢いたくて』(実は読んでます。わはは)、ゲストがなんと内田春菊。この組み合わせはなかなかビックリだなあ。
 2ちゃんねるなんかでも、内田春菊バッシングは相当スゴイものがあって、もうリクツもクソもなくなって感情の垂れ流しになってるけど、まあ、それだけ人の琴線に触れるものを描いてるってことだ。作品がいかに内田春菊の実生活をモデルにしていようと、エッセイや後がきで元夫の悪口言いまくってようと、それが内田さんの「作風」なんだからねえ。文句つけるんなら読まなきゃいいのに。全く何様のつもりなんだか。
 離婚に関してはいろいろあったはずなのに、黙して語らぬさくらももこや倉田真由美に比べりゃ、内田さんのほうがよっぽど潔いわ。黙ってるほうが潔いってのは大間違いだよ、だって、「自分のほうが悪者」と受け取られること覚悟の上で書いてんだからさ。

 対談自体は、何しろ載ってるのが『Newtype』だからね、余り過激なことは載せられまい。
 内田さんのプライバシーにも入りすぎちゃいないけど、林原さんが性的なことを高校のときに読んだ内田さんのマンガで開発されたってのは面白いな。私ゃ、内田さんのマンガは今に至るまでずっと性的にストイックなマンガだと思ってたんだけど。『幻想の普通少女』なんて特にね。
 男に簡単にマタ開こうが、それが性的に開放されてるとは限らない。だから、内田さんのマンガのキャラクターは男に抱かれて気持ちよくても、すぐに別れる。性の開放ってのがホントは心の開放だということならば、そこに辿り付くには一朝一夕にはいかないんじゃないか。だから内田さんは今のダンナで3人目か? 未だにストイックな心を持ちつづけてると思うんだけどね。


 DVD『アベノ橋魔法☆商店街』vol.1(スターチャイルド/KIBA779・1890円)。
 うーむ、悩んだ末に結局買った『アベノ橋』DVD。
 オタクがこうも細分化してしまった今、たとえガイナックスの新作と言えど、ヒットするとは限らない。だいたい、キッズステーションでの放送ってのがとても人口に膾炙するとはとても言いがたいしね。よほど「面白いぜ!」という要素がない限り、口コミも効果がなかろう。
 で、5年後には「幻のアニメ」になるであろうことを見越してDVDを購入(^_^;)。実はウチの本棚にはそーゆーアニメが多いのよ。『宇宙海賊ミトの大冒険』とか『デュアル!』とか、もうみんな忘れちゃってるだろうなあ。好きだったんだけど。
 本放送時は見逃していたので第1話は初見なんだけど、なんだこれ、大阪を舞台にした『オトナ帝国』じゃん。脚本のあかほりさとる&山賀博之がそのことをどの程度意識してたかどうかは分らないけれど、実際そうなっている。消えて行こうとする「アベノ橋商店街」をなんとかして残したいという思いが主人公のアルミとサッシを別世界に飛ばしてるって設定だし、エンディングには「太陽の塔」も出てくるし。藤原啓治さんがパパン役で出演してるのは偶然だろうけれど。大阪のことはよく知らんけど、阿部野橋って実在してるのか?
 もしかしてガイナックスがこんなの作ったのは、東京者に『オトナ帝国』を作られた大阪者としての腹いせだったりして。主人公のサッシがオタク少年ってのもなんとなく『ハレのちグゥ』のハレみたいだよねえ。打倒「シンエイ動画」ってか?
 思い返すに、オタクマインドに溢れてたアニメって、10年ほど前まではガイナックスの専売特許的なとこがあった。それは、かつては思い切り卑俗な形でのパロディ(モブシーンにどこかで見たようなキャラがいるとかね)として現れてたんだけれど、しばらくナリを潜めていたところに、実に効果的な「演出」として洗練された形で『オトナ帝国』にやられてしまった。
 ガイナックスの人たち、内心では悔しく思ってたんじゃないかな。本来、『オトナ帝国』のような作品はガイナックスが作るべき作品ではなかったかって。

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07月12日(金)
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