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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■懐かしき人々の狂乱
私が言わなくても、お客さんは正直である。
三十人ほどのお客さん(例年、こんなものだ)のアンケート、今回はいつもの不条理劇でない分、役者の技量不足をストレートに批判した意見が寄せられていた。……ホンがつまんないという意見はなかったから、どうして笑いがイマイチ起きなかったのか、自らの演技力不足に大きな原因があったのだと、役者諸君はキモに命じておくように。
私は私で、自分の脚本の欠点については、誰に言われなくても自己批判しとくからよ。
それでもこうたろう君、しげの演技を誉めてくれる。
「いやあ、舞台映えしてるよ。一番生き生きしてたし。やっぱり、たくさん映画や舞台見てるのが強みだね」
望外の誉め言葉だなあ。
しげの役は化け猫なんだけども、もともと無表情で、どんなにブリっ子して見せても、目だけは笑ってないやつなんで、普段でも見ていてどこか怖いのである。その辺の「凄み」が自然に出たってだけだと思うけどね。
けれど、痛む足をそれと感じさせないように演技して見せたこと、これだけは誉めていい。役者なら当たり前のことだけど、その当たり前もできない人間って、この世の中に多いからさ。
撤収はいつものごとく、混雑を極める。
其ノ他君の小道具のギターがどこかに行っただの(あとで置き忘れていたのが見つかる)、セット代わりのポリ袋の捨て所がないだの(手分けして持ち帰ることに)、お手伝いさんが「ミスが多かったから」と電車代をもらってくれないだの(ムリヤリ持たせた)、しげが痛む足をかばって、ギックリ腰になっただの(あほ)、いろいろあったが、なんとか終了。
片付けのときだけやってきた藤田君、荷物が揃ってないってんで「誰かチェックしてなかったのか!」とか文句垂れてたけど、チェックしてて見つからないから、困って探してるんだよ。トンチンカンなこと言ってる暇があったら、自分で探せ。
しげとよしひと嬢は、一足先に帰宅。
よしひと嬢、ロドリゲスの助手席には、ベスト電器から借りてきたプロジェクターが鎮座ましましているので、仕方なく荷物でいっぱいになった後部座席のスキマに挟まるように運ばれていく。
「警察に見つかったら、人形のフリをするように」
誰ぞがそんなこと言ってたけど、そりゃムリってもんでしょ。
こうたろう君と、ようやくラーメンスタジアムが空いてきたので、「博多一黒丸」でチャーシュー麺。オーソドックスな味で、それほどしつこくなく、悪くない。今日の公演のことなど、乾杯しつつ(私は水だけど)語る。
「やっぱり、芝居をするってだけじゃなくて、その先に何があるかを見なきゃな」
とは辛辣だが至言だ。
帰宅したときには、私も相当、くたびれはてていたが、それでもDVD『ポピー・ザ・パフォーマー』などをみんなで見て騒ぐ。
でもそれも12時までが限界。睡魔が猛烈に襲ってくる。
明日が休みならなあ、徹夜してでも喋りまくりたかったんだけどなあ。
『ワンピース』話で盛りあがるこうたろう君とよしひと嬢、腰が痛いと泣くしげを残して私は一人、本棚のスキマで寝るのであった。
05月12日(日)
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