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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■伝統と革命の間/『蟲師』2巻(漆原友紀)ほか
おまけとゆーか、和田さんが竹本泉さんと雑誌で対談したときのカットを再録してくれているのも嬉しい。竹本さんの描く明日香、かわいすぎる! まるでホンモノと似ても似つかないくらいに(こらこら)。
和田さんの描くイーナスはヘタだけど(おいおい)。
けれど、いい加減で和也とのすれ違いネタは無理が出て来てるしやめたらどうかな。もう何度も一緒に戦ってきて「危険な目に合わせたくない」もないだろうに。
いったん終わった作品を更に続けるってのが大変なのは解るけれど、「黄金ドクロ編」のような強大な敵はもう出しようがないし、あまり以前の作品のパターンを繰り返すのはどうなんだろう。
それならいっそのこと第一作のウォーカー姉弟をもう一度出すというのはどうだ。たしかまだ死んでなかったし。
マンガ、漆原友紀『蟲師』2巻(講談社・560円)。
ああ、待ちに待った待望の2巻!
しかも1巻にも増してハイレベルな作品群!
私のつまんない批評なんか読んでるヒマがあったら、すぐに買って読め!
……常軌を逸してると思われようが、実際面白いんだから仕方ないじゃん。
掲載誌の『アフタヌーン・シーズン増刊』でも表紙になっているくらいだから、そりなりに人気はあるんだろうけれど、珠玉の名編、という看板に偽りナシのこのシリーズ、売れてきたとは言ってもまだまだ世間の認知度は低いと思うんである。
しかし一度読んでハマったらもう、人に伝えて「『蟲師』はイイっスよ!」と布教して回りたくなるその魅力、これは『エヴァンゲリオン』『オトナ帝国』に勝るとも劣らない。
現に第1巻が発売された時、福岡天神の福家書店では、次々と新刊が発行され続けているにもかかわらず、増刷が入荷されるたびに必ず平積みにし、しかも「試し読み本」を用意して、「だまされたと思って手に取って読んでみてください!」のハリガミまでしてたのだ。
だからプッシュ!
これを読んだことがある人はすぐに自分のホームページで絶賛の感想を書き、出入りしているサイトがあったらそこでも「読め読め」と強要し、家族や一族郎党、友人知人には無理やり売りつけ、更に布教の輪を……。
はあはあ。
いけない、ちょっとばかし額の血管が切れちまったい。
でも、一度読んだら、絶対そんな気分になることは保証するでよ。
今巻で、なぜ蟲師のギンコが旅をしているのかも、巻頭の『やまねむる』で明かされる。「蟲を寄せる」体質の人間が「蟲師」になるのだね。しかしなぜ「彼ら」だけが蟲を寄せてしまうのか、その謎まではまだ明かされない。明かされなくても構わないけど。
「蟲」は確かに人をついばむものであるのかもしれない。
しかし、ギンコを初めとして、このマンガに登場する人々は、みなこの「世界との絆」をどこかでつなぎそこなっている人々ばかりである。
口減らしに山に捨てられ、山に育てられた少年、コダマ。
愛する男を里につなぎとめるために山の主を殺した娘、朔。
蟲にその身をささげることで、里の安寧を保とうとする蟲師、ムジカ。
満たされぬ心ゆえに蟲にその身を寄生させて生き神となる少女、あこや。
父の見た虹の幻影を追い求めてさ迷う男、虹郎。
蟲にとって代わられた息子を、それでも愛し育てていく母親、あき。
彼らは、彼女たちは、原初の生命たる「蟲」に触れることでようやく自らの「心」を取り戻す。
その様子はまるで、「悲劇」を経験せねば、人は人でいられないという諦観のようにすら見える。
そして、『筆の海』のヒロイン、狩房淡幽。
参った。
マンガの中の少女に、こうまで打ちのめされることがあろうとは思いもよらなかった。
その健気さ、そして強く、優しく、けれど儚げな憂いをその瞳に常に宿した少女。
これほどまでに深い「思い」をリアルに描ける才というのはいったいなんなのだろう。
蟲封じの家に、先祖の封じた蟲をその身に宿して生まれ落ちた少女の右足は、蟲のために黒く、墨のような痣に覆われていた。
身動きすることもかなわぬその「蟲」を改めて封じるためには、彼女の「筆」で、蟲を紙に筆写し続けるだけの生涯を送らねばならない。
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02月26日(火)
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