ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491684hit]
■血管をタテに切る女/アニメ『七人のナナ』第4話/『ガウガウわー太』2巻(梅川和実)ほか
佐々木倫子の『動物のお医者さん』も好きなマンガだったけど、作者本人が実際に動物に接していた経験があるかないかの差が如実に出ちゃってるものなあ。『動物のお医者さん』には動物を飼うための覚悟なんてなーんも感じさせないマンガだったもんね(だから『おたんこナース』も徹頭徹尾ギャグかと思って読んだら結構マジメだったんで逆に引いちゃった面もある)。
なんかもー、「かわいい』だけでペット買っちゃう人間のエゴイズムを告発してるようなもんなんで、『ハム太郎』のロコちゃんみたいな女の子が読んだら、胸をグサッと刺されちゃうんじゃないか。
動物に意志がある、という昔ながらのメルヘンチックな設定であるにもかかわらず、ファンタジーにはなってない。サンタの病気も「膵外分泌不全」という食物から栄養を吸収する酵素が膵臓からうまく分泌されない病気(って、人間で言えば糖尿病じゃんか。ああ、仲間だ!)。実にリアルだ。
だからサンタが二重人格になって、ゴミをあさったり、人を襲ったりしても、そういうこともありえることかもなあ、と納得してしまうのだ。
確かに、動物の気持ちが分らない人間に対する告発的な面はあるのだが、それが説教臭くは見えないのは、何より「動物とどうしたらいい関係を作って行けるのか」という方に作者の目が向いているからだろう。
外に向けて声高に叫ぶより、まず自分の足元をキチンと作っていくって態度が好感を呼んでると思うんである。
『バンチ』買ってる人は、アンケートに『ガウガウわー太』って書いてね♪
マンガ、柴田錬三郎原作・柳川喜弘作画『眠狂四郎』2巻(新潮社・530円)。
あっはっは、ついに出たぞ高姫。
狂四郎の敵は何人も現れたが、その筆頭と言えるのがこの驕慢な性悪女(マンガじゃ「こうひめ」とルビ打ってるけど、これ「たかひめ」じゃないのか)。
総勢55人に及んだ11代将軍家斉の娘の一人(実在)。自分になびかぬ狂四郎を逆恨みし、執拗に刺客を送り続ける様子は、原作のページをめくるほどに凄みを増していた(女が権力を握れば戦争は起こらない、なんてタワゴト言ってるやつがいるが、西大后の例はどうなるかね。淀君はどうなるんだよ)。
原作の柴田錬三郎さん、こういう権力握った女が自分のヒステリーで世の中をシッチャカメッチャカにする話が大好きらしく、もちろん淀君をモチーフにした作品なんかもたくさん書いている。けれど、狂四郎を手玉に取れるだけのキャラクターとして、この高姫は、シバレン悪のヒロイン中でも、白眉であろう。
映画版『眠狂四郎勝負』では久保菜穂子が演じていたが、まだまだ毒が足りない。後の直接の原作がない『眠狂四郎女妖剣/多情剣』に登場した菊姫や、『眠狂四郎人肌蜘蛛』の土門紫の方がずっと妖艶かつ情念のかたまりのように描かれている。
このマンガの高姫がこれからどうバケて行くか。
米俵の上に立膝で座り、酒かっ食らってる豪快な姿を見せてくれてるけれど、これくらいじゃまだまだ。女性のキャラの描き分けがもう一つのところがあるので、もちっと精進してもらいたいところである。
マンガ、雷句誠『金色のガッシュ!!』4巻(小学館・410円)。
「残りの魔物が70名」と発表されたけれど、つまり「ある程度の長期連載」が保証されたってことだね、よかったよかった。10週打ちきりだったら、こんな数も出せないもの。
もちろん、その70名が全員、ガッシュと清麿を襲ってくるはずもないから、二人の戦いは、せいぜいあと二、三十回ってとこなんだろうけれど、それでも10巻くらい、2年くらいは連載が続いてくれそうだ。ジャンプと違ってサンデーは人気が多少落ちても、まとまりがつくまでは連載を許してくれるところだから、雷句さんも自由に物語を広げてくれそうで、楽しみである。
今巻、既に本筋と全く関係ない「巨大母」や「最低先生」なんてエピソードも入ってるし。
頭はいいけど学校を休みがちな清麿を気に入らない遠山先生、「100点取られるのが口惜しい」とデタラメな問題ばかり出す。
[5]続きを読む
01月31日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る