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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■彼岸の人/ドラマ『ブラック・ジャックV』/『ドンキホーテのロンドン』(鴻上尚史)ほか
 鴻上さんが未だに気がついていないらしいのは、たとえ日本に国立劇場が増え、世間的に演劇の存在が認知されていくようになっても、それは表面的な部分に留まって、決して普段の我々の生活に密接したような存在にまで演劇が認められることはありえないということだ。
 なぜなら、日本の演劇と、社会主義活動は長く密接に絡みあってきた歴史がある。公共の場において、たとえば学校教育の中においては、お遊戯や部活動を越えた正規の形での演劇教育は、まず望み得ないのだ。
 ……ヒカゲの存在でいいじゃん、とも思うのだけれどね。ヘタに光を浴びると、ヨコヤリガ上の方から入りまくるに決まってるんだから。


 赤塚不二夫『アカツカNO.1 赤塚不二夫の爆笑狂時代』(イースト・プレス・2000円)。
 『天才バカボン』と『レッツラゴン』の中から、いわゆる「実験マンガ」的なものを数ページずつだけ抜き出して、当時の雑誌インタビューなども交えて構成したもの。
 「数ページずつ」だから、完全に一本のマンガが読めるものは一本もない。
 伝説の「等身大マンガ」、ラストでコマが小さくなるところまで収録しないと、ギャグの効果が半減すると思うんだけどなあ。

 子供の作り方を初めて知ったバカボンが、パパとママを「汚らわしい!」と怒る話なんか、これを『バカボン』でやったもんだから当時はむちゃくちゃ衝撃的だったんだが。
 確かになあ、言われるまでパパとママのナニシーンなんて想像もしてなかったけど、バカボンにハジメまで作ってるんだものなあ。……やってるんだよなあ、あの二人。
 ギャグキャラクターに「肉体」を与えたマンガ家って、赤塚さんが初めてなのではなかろうか?
 っつーか、当時私も「それ」を知ったばかりだったしさ、最初はバカボンに同情しながら見ちゃうワケよ。「そうだ、僕はオトナになったって、そんな汚らしいことはしないぞ!」とか思っちゃったりしてさ(^_^;)。
 いや、小学生のタワゴトですから。
 だから、オチでバカボンが「なんだ、これって自然なことなんだ!」ってスッキリしちゃうところが思いっきり肩透かしされちゃうことになるのよ。
 なのに、そこがまたカットされてるから、これもギャグがギャグとして完結してない。
 ……誰だ。こんな変な編集したの。

 「山田一郎」改名事件も懐かしい。けれど、たとえ完全収録されたからといって、こういった実験作品を今の読者が楽しめるかというとそれは別問題だろう。
 事実、しげなどは同じ実験マンガでも、唐沢なをきだと笑うのに、赤塚不二夫だと、白けた眼で見るだけなのだ。
 時代と寝ている時、ギャグマンガは強いけれど、そこから一端リタイアすると、ただのつまらないマンガに堕してしまうんだろうか。

09月26日(水)
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