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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■なりたくて病気になってるわけじゃないやい/舞台『トランス'98』ほか
 『もののけ姫』について真っ向から批判していたのにも驚いた。「声優には声優としての演技があり、そのキャラクターの声になりきる技術を身につけている。なぜ有名俳優にばかり声をアテさせるか」という意見である。……言葉を選んじゃいるが、何であんなヘタクソどもにやらせるかってことだろうな。
 確かに大平さんがこう言うとそれなりの説得力はあるんだけどなあ。基本的に私もこの意見には賛成である。ただし、問題点がいくつかあることも事実だ。
 例えば、黒澤明や大島渚が、映画で素人や芸人を使いたがったのはなぜか、考えてみるがいい。既成の俳優の手垢のついたクサイ演技を嫌ったせいではないのか。黒澤明にしてみれば、名優松村康雄であっても「内田百フ役に誰がいいかって考えた時、松村しかいなかったんだよな」程度の俳優なのである。
 大平さんは「ハクション大魔王をやった時も喪黒福造をやった時も大平透が演じているとは気づかせない演技をした」と言っているが、そりゃ大して洋画もアニメも見ない人ならだませもしようが、ちょっとコアな人なら、大平さんの声に気づかない人はいないぞ。宮崎駿が俳優を使ったのは、あくまで演技プランのうちだと思う。少なくとも、箔づけや人気取りのためではない。実際、森繁久彌や美輪明宏は声優としての実績もあるのだ。それを十把ひとからげに「俳優を使うな」と言うのは天に唾する行為であろう。
 『もののけ姫』についての私の意見は、「田中裕子は使うべきでなかった」、これだけである。彼女の「撃て!」と言うセリフと、同じような役柄である『ナウシカ』の榊原良子演じる「なぎ払え!」のセリフを比較してみると一目(一聞?)瞭然だろう。気品、気迫、声量、どれを取っても榊原良子のほうが上であった。これは宮崎さんの目がね違いであろう。
 しかし他のキャストで言えば、モロの声など、私にはもう美輪さん以外の人がアテて、あれに勝てるとは思えない。勝てるという声優がいたら、それは相当の自信家か、でなければただのバカだと思う。声優界だって、そうそう名優ぞろいというわけではないのだ。だから今はちょっと「芸」の必要な役柄になると全て山寺宏一に回ってきちゃうのである。
 今度の『千と千尋の神隠し』の声優はどうなるのかなあ。夏公開ならそろそろ決まってないとスケジュール的にキツイと思うんだが。

 女房が夜中になってようやくお籠もり部屋から出てくる。「なんかメシつくってくれ」と頼んでも無視して風呂に入る。気分はもう辻仁成。……そこまで落ちたかないのになあ。

02月16日(金)
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