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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■去勢された人々/映画『パプリカ』
 物語の中で、「夢の女」という泉鏡花の小説のタイトルが漏らされる。パプリカは、まさに理想のアニマとして、オタク男子の夢を叶えるためにそこにいるのである。

 そう考えると、この声優のキャスティングは実に興味深い。
 究極のオタク・時田は古谷徹だ。アムロ・レイがメカオタだったことを覚えているアニメファンは多かろう。時田の夢の中の仮の姿はブリキのロボットであったが、いっそのことガンダムもどきのモビルスーツにしてしまえばよかったのにと、本気で思った。時田の幼児性を考えれば、その方が自然ではないだろうか。
 そしてパプリカは林原“アヤナミ”めぐみである。その符合についてはもう説明するまでもない。彼女は今回、再び「巨大化」してくれたが、巨大女フリークのフェティシストたちは、「あの爽快なシーン」にきっと狂喜したことであろう。江守徹、もって瞑すべし(笑)。

 『パプリカ』は徹頭徹尾、男性論理によって成立しているSFである。女性から見れば「男ってこんなに幼稚なのか」と驚かれるかもしれないが、深層意識まで大人である男などは存在しない。男はみんな死ぬまでマザコンである。
女性もまた、男の正体はこんなものだと諦観して、白馬の王子様などいないと理解してもらいたいものだ。

 七瀬シリーズで男性の単純な欲望を描いたように、『パプリカ』も男の幼稚な夢を描き出す。
 その潔さが小気味よい。男もまた、自分の正体や弱点が暴き出されてしまったことに腹など立てず、幼稚でもデブでもオタでも、天才でさえあれば、たまにはいい女をゲットできると夢想していればよい。
 つまり、天才でないあなたは、ナベブタで妥協することである。
……そういうお話なんですよ、『パプリカ』は(笑)。

01月06日(土)
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