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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■人の心が芽生える時/映画『007 カジノ・ロワイヤル』(
 ミステリーである以上、具体的な結末を語るわけにはいかないが、本作でのジェームズ・ボンドは、荒唐無稽なスパイ・ヒーローではない。特殊開発された新兵器を使うわけでもないし、宇宙に飛び出してSFまがいの決闘を繰り広げるわけでもないし、女と見ればコマさずにはおれないニヤケた色情狂でもない。
 一個の「人間」なのである。
 原作がそうであったように、スパイ稼業に嫌気がさし、OOナンバーを取得したばかりだと言うのに、ヴェスパーと結婚することを決意する、そんな弱い人間なのである。

 これまでのアクション・ヒーローとしてのOO7シリーズに馴れていた向きには、今回のボンドはいささか情けなく、青臭いようにすら映るかもしれない。
 しかし、これこそが原点のOO7なのだ。

 我々は初めてジェームズ・ボンドがどんな男であったのかを知る。そう、まさに彼は「男」であったのである。

 できれば、ヴェスパーとの濃厚なラブシーンが見たかったところだけれど、それはナシ。R指定にならないように気を使ったのかな(苦笑)。

12月03日(日)
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