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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■北九州くらいまでなら遠くない/舞台『イッセー尾形のとまらない生活2006in小倉』
ボクシング場のガードマン室に、先日のタイトル戦でリングに乱入した男が訪ねてくる。男はそこのガードマンに取り押さえられたのだが、ちょっとネジが緩んでいるその男、そのときのガードマンに憧れて、彼と一緒に先日のタイトル戦のテレビ中継をガードマンと一緒に見ようと思ってやってきたのだった。けれども、そのトラブル部分は放送ではカットされていた。
男がガードマンをやたらおだてるの見てるとねえ、こんなやついるよなあ、苛められたやつが、苛めたやつに逆に卑屈になって媚びるやつ、そういうやつを現実に何人も知っているので、何だかちょっと気分が悪い。スケッチそのものは可笑しいのだけれども。
8.「大家族(ハローワーク篇)」
シリーズでこれも長く続いてます。いや、この子沢山のお父さんが出てくると、思わず「待ってました!」と拍手をしたくなるね。
お父さんは現場監督からハローワークに行かされる。要するに転職を勧められたのだが、お父さんは「ハローワークに就職するのだ」と勘違い。事情が分かっても、「やりたい仕事」を「自分のなりたい夢」と更に勘違いして「船乗りになって世界の海を渡りたい」などと言い出す。お父さんを心配した子供たちがやって来ると、お父さんは「こいつらにも仕事を」と勝手に将来の職業を決め始める。
説明の必要のない「お父さん」の大暴走シリーズ。係の人の困った顔が見えるようだ(笑)。
9.「フレデリック」
フレデリックという名前の死んだ犬を埋葬するウクレレ弾きの爺さん。犬との思い出を語りながら、歌を何曲も歌う。そのたびに「フレデリック! 生き返ったか」と声をかけるが、すべて爺さんの一人芝居。
フレデリックは仙台まで飼い主を追いかけて行った忠犬らしい。愛情があるようなないような、つれないような態度を爺さんは取ってるんだけれど、本当はやっぱりフレデリックのことが好きなんだろう。「奇跡は2度は起こらんよ」と確認するように何度も繰り返すのが可笑しくも物悲しい。
だから最後に爺さんが「フレデリック!」と叫んだあと、あの犬は生き返ったのだと信じたいのである。
芝居が終わったあと、イッセーさんのサイン会に並ぶ。
ワークショップの時にはこちらは緊張しまくりでサインを頂く心の余裕もなかったので、これが実は初めてである。ご著書、DVD、トートバックにサイン、妻とのツーショットも撮らせて頂いた。あとで妻から「あんたは一緒に撮ってもらわなくてよかったの?」と言われたが、それは完全に失念していた。やっぱりまだ緊張しているのである。
ほんの少しだけイッセーさんとお喋りもできたのだが、映画『太陽』、やはり公開の目途が立たないそうである。こういう状況がある限りは、私はやはり世間の右寄りの言質に組する気にはなれない。中国も韓国もいい加減で日本に難癖付けるのはやめろ。かえって日本国内のナショナリストどもを増やすことになるだけだ。
帰りにもう一度、ワークショップのみなさんや森田さんの奥様とお喋り。というか奥様とちゃんと会話できたのはこれが初めてだ。森田さんのお子さんたちが、しげの「ファンなのよ」と仰るので、それはやっぱり太ってるから面白かったのだろうかと笑う。「あの時は一番太ってましたから」といつもなら黙りこくってモジモジするだけのしげも、珍しく応答する。奥様が気さくに話されるので、しげも話しやすかったのだろう。
「これでもこいつはあの時から15キロ痩せたんですよ」と私が言うと、奥様は「ダメよ、痩せちゃ。世の中が痩せた美男美女ばかりになったら面白くないでしょ?」と仰る。ありがたい言葉である。
名残惜しかったが、電車の時間があるので辞去。次のワークショップは10月だそうだ。その時はぜひ参加させてほしいとお願いして後ろ髪を引かれながら引き上げる。
01月20日(金)
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