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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■だからいつまで言葉狩りを続けるのか/『怪獣の家』1・2巻(星里もちる)
 それはともかく、前作の『ルナハイツ』に続く本作もそうだったが、一歩間違えばドロドロになってしまう三角関係のドラマは、読んでいて辛くなるほどのシリアスな展開になることもなく、「ほどよく」抑制されて、確かに予定調和でご都合主義的な「甘さ」は見られるものの、全体としては心和むハッピースーエンドへと収斂されていく。その手際は2巻というまとまりのよい巻数のおかげか、非常に巧みに感じられる。主人公が家族の事故死に責任を感じ、今でも一人ぼっちで住んでいる家を手放せずにいるというトラウマを抱えてはいるものの、二人のヒロインの一途さに、少しずつ凍った心が溶かされていく過程が気持ちいいのだ。一時期荒れていた描線も、随分落ち着いてきた。
 「家」をテーマにした作品は無数にあるが、「破壊」と「再生」が「家族映画」のモチーフであると同時に、「怪獣映画」のモチーフであることにも気付き、その二者を重ね合わせて見せたその発想は、決して笑うべきものではないと思うのである。 

01月11日(水)
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