ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491657hit]
■どんな夢を見た?/『奇談(キダン)』(諸星大二郎・行川渉)
帰宅して、ネット検索してみると、追悼を述べていた日記やブログの8割が「『帰ってきたウルトラマン』の伊吹竜隊長の……」と記述していた。ほかは一部が『稲妻』に触れている程度。
もちろんそれは間違いではないのだが、根上さんは特撮だけの人ではない。伊吹隊長を演じた時、既に役者としてのキャリアは充分以上に積んでおられた方だ。根上さんが隊長を演じた当時、まだ子供だった私ですら、「特撮ドラマに出演する人は決まり切っていると思っていたのに、ほかの畑からキャスティングされることもあるんだ」と思ったくらいである(実際には初期ウルトラシリーズの隊長役は、ベテラン役者の方を使うことが多かったのだが)。そういう人が亡くなったときに、「特撮番組だけ」で語られてしまうというのはどう考えたらいいのだろう。日本での映画やドラマのファンの意識の低さを表していると糾弾することも今更詮無いことで、ただ悲しみが弥増すだけである。
一般的なイメージは『連想ゲーム』の方が強いはずなのだが、それに触れている人すら少ない。もちろん『連想ゲーム』のみで語られることも根上さんにとっては嬉しいことではあるまいが、根上さんのようなベテラン役者ですら、こんなに「忘れられている」ことを思うと、役者っていったい何なんだろうな、としみじみと思うことである。特撮ファンに覚えられていただけでもよしと考えるべきなんだろうか。
初期『ウルトラ』シリーズの隊長さんたちも、大半が鬼籍に入られてしまった。時代が移り行くのが運命とは言え、過去の記憶を共有する人はどんどん少なくなる。私よりも年下の人の方が、人口で占める割合が増えようかという年になってしまっているのだ。若い人からうるさがられようが、小言幸兵衛になってしまうのも自然、無理ないことだよなあと思ってしまうのである。
『1リットルの涙』『鬼嫁日記』『タモリのジャポニカロゴス』と続けて見る。
感想全部書いてるとツライので、『1リットルの涙』についてだけね(笑)。
第3回にして、亜也はついに自分が「脊髄小脳変性症」であることに気付く。「どうして病気は私を選んだの?」という彼女のセリフを聞くと、まるで自分がその言葉を聞かされている医師になったような気分にさせられてしまう。そして、答えようもない現実に打ちひしがれて、気がついたらくやし涙を流してしまっているのだ。
実は毎回見ながら私はこのドラマで泣いてしまっているのだが(笑)、同時にこんな演出過多なドラマで泣く自分にも腹が立つというか、やや嫌気がさしているのである。『セカチュー』や『いまあい』で泣いてるバカオンナどもを笑えやしない。
なぜこういうドラマで泣くことが恥ずかしいかというと、例えば難病のヒロインが沢尻エリカのような超美少女じゃなかったら、果たして泣けていたろうか、というミもフタもない偏見が自分にあることを自覚せざるをえないからだ。これが、主演が泉ピン子だったら私はまず泣かない。また、ヒロインが優しく意志も強く、病気に立ち向かおうとする健気な子でなかったら、やっぱり私は泣いていなかっただろうと思う。これが守銭奴で性格の歪んだ因業ババアが「何であたしだけがこんな目に」とか言おうものなら、天罰が下ったんだとしか思うまい。
要するに、「美しく健気な美少女」が難病にかかっているから私は同情しているだけなのである。病気に苦しむ人全般に対して気遣う気持ちなんてない。しかしこれは私だけの感覚ではないのではなかろうか。相手の美醜、境遇、人種などに関わらず博愛精神を抱けるようなマザー・テレサのような人間が、そうそう巷に溢れているとは思えない。ドラマに感動する大半の視聴者は、「アイドルやスターの純愛ドラマ」を疑似体験して感動しているだけなのである。難病と闘う人の心の気高さなどに感動しているのではない。
[5]続きを読む
10月25日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る