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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■お隣さんがアレなのは分かっちゃいたが/映画『柳生武芸帳』(近衛十四郎主演版)
全11作が作られた近衛十四郎の「十兵衛」シリーズだが、五味康祐の原作小説をちゃんと映画化したのは実はこの一作だけだということだ。ほかの作品は、タイトルに『柳生武芸帳』と冠してはいるのだけれど、殆どが設定を借りただけのオリジナルである。何たって十兵衛のライバルの山田浮月斎(原健策)が、この一作目で死んでしまうのだ。完結してるやん(笑)。だいたい原作自体が未完に終わってしまっていて(五味康祐の才能が枯渇したせいである)、柳生武芸帳の謎もほったらかしになっちゃってるのだから、映画はオリジナルの道を辿るほかはなかったのである。
昔、テレビで見た時には画面の両端がトリミングされている「不完全版」だったから、今回初めてシネマスコープサイズで見ることができたのだが、このワイド画面を駆使してもなお、カメラは近衛十四郎の殺陣を追い切れていない。つまりそれだけ殺陣が激しくかつ超速度のものであったということであるが、忍者ものを意識したせいだろう、部分的に特撮を使っているのはいただけない。殺陣は殺陣のみで画面にその迫力を定着させてこそ価値があるというものだ。
今回のNHKBS2での放映は、全シリーズの放送ではないが、シリーズ最高傑作のみならずチャンバラ映画史上屈指の傑作との誉れも高い『十兵衛暗殺剣』も放送予定である。これもレターボックスサイズ(16:9)での放送を見るのは初めてになるので、ようやくその真価を確認できるというものだ。いや、ホントは劇場で見るのが一番だってことは分かってるんだけどね。
10月17日(月)
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