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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■あれもこれも/『ウルトラマンマックス』第15話「第三番惑星の奇跡」/『BLOOD+』第一話「ファーストキス」
『イノセンス』のProductionI.G制作ということで、つい過剰に期待してしまいたくなるが、映画版がそもそも「日本刀を振り回すセーラー服美少女」というビジュアルがウリになっているくらいで、あとの設定やストーリーは従来のアニメをそんなに一歩も二歩も出たものではない。寺田克也のキャラクターデザインがどれほどアニメに寄与していたかは疑問があるし(頑張ってはいたけど、結局は作画監督のクセがデザインを凌駕している)、横田の米軍基地を舞台にしている設定は目新しいけれども、短い上映時間の中では、その設定を充分に生かして物語が展開したとは言いがたい。
テレビシリーズになっても、キャラクターデザインの一新、舞台も沖縄に移す、などの変更点はあるが、物語のコンセプト自体は映画版とさほど違いはなさそうである。主人公の音無小夜(おとなし・さや/声・喜多村英梨)が記憶喪失で自分の宿命を知らないとか、「翼手」に襲われ、謎の男・ハジ(声・小西克幸)の導きで「覚醒」する(キスで目覚めるって、イマドキ『白雪姫』の王子様かよ)ってのも、なんだか既視感を覚えてしまう。つか、これってまんま『サルでも書けるマンガ教室』の「イヤッ・ボーンの法則」なんだけど。
セリフも声優の演技もアニメアニメしてい大仰で、ちょっと辛いものがある。若手はもう人材不足だから仕方がないとしても、小夜を娘として育てている宮城ジョージの声優が大塚芳忠ってのはミスキャストじゃないのか。これなんか、もっと重厚でリアルな雰囲気を出せる声質の人で、津嘉山正種とか屋良勇作とかの役どころじゃないかって思うけれど。
そんな風にありきたりというか古くさくはあっても、つまんないというほどではなく、結構、「見られてしまう」のは、やはりI.Gならではの作画の美しさに寄与している面が大きいと思う(中身はないけど、「絵」でってアニメは最近多い。『エウレカセブン』とかもね)。しかし絵の面で言っても、オープニングの戦闘シーンこそ、ざらついた画面のデジタル処理と短いカット割りが効果的で、血まみれな小夜の冷ややかな立ち姿が彼女の暗い運命を象徴しているようでゾクゾクするような魅力に溢れていたのだが、本編に入った途端に、目立つほどの絵もなくなって、話がただ流れているだけの印象になってしまう。もっと構図に凝ってみればいいのに、どうしてそれをしないのかなあ。
それでも背景組織との関連を掘り下げて描いて行くとか、面白くできる要素もないわけではないので、これから先の展開に期待したい。本当に面白くなるかどうかは、まだまだ未知数だろう。
相変わらずアテにならないオタク分析をやらかしている野村総合研究所(NRI)であるが、以前の分析が一面的に過ぎると思い直したのだろう、再び同オタク市場予測チームが、オタクの特性を分析して再定義して、10月6日に発表した。
けれどこれがまた細かくなったわりにはやはりピンと来ないのである。
「オタクはいわゆる「アキバ系」だけではないとし、行動や消費の特性を抽出。アニメやコミックに加えて旅行、自動車マニアなどもオタクに含め、主要12分野のオタク人口を172万人、市場規模を4110億円と推計した」と言うのだが、分野を増やしていけば、規模だって拡大するのは当たり前である。
昨年の「アニメ」「アイドル」「コミック」「ゲーム」「自作PC」オタクのほかに、新たに「AV機器」「携帯型IT機器」「クルマ」「旅行」「ファッション」「カメラ」「鉄道」(「アイドル」は「芸能人」に変更)を加えた12分野というのだが、ここまで来ると、日本人でオタクでないやつはいないってことになりゃしないか。
つか、「オタク」って概念はもう一般化しちゃってるので、市場調査のためのキーワードとしては機能してないと判断した方がいいように思うけどね。
「オタクの定義は時代とともに変化してきた」という同社の指摘は、一応、納得できはするのである。しかしそこで「オタクはすべての趣味分野に存在する」と言ったんじゃあ、まさしくこの分析が無意味だということを自分たちで肯定しているようなものだ。結局、「何が当たるか分からない」不安定な市場である点ではどの分野も変わりはしない。
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10月08日(土)
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