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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■みんな仕事が面倒くさいんだね/『トンデモUFO入門』(山本弘+皆神龍太郎+志水一夫)
 私も子供のころ、近所の神社にノストラダムスの大予言かなんかにかぶれた連中がやって来て布教を始めたので、面白半分に(母親が「面白そうだから行って来んね」と勧めたのである)出かけたところ、いろいろ呪文を唱えられて催眠術にかけられたようになって、オジギさせられてしまった。だからと言って、カミサマがいるとか超能力があるとか信じるようにはならないのである。何かそのときも「行いを正しくしていればUFOさんが世紀末に救いに来てくれる」とか言ってたな。あの人たちは今はどこでどうしているのやら。
 映画『宇宙戦争』を見れば分かる通り、今、宇宙からの侵略をリアルに描こうとすれば、「宇宙から飛来する円盤」すら登場させられなくなってしまうのである。しかし、UFOがその時代におけるフォークロアとして生まれてきていることを考えれば、そういう方向での「リアル」を追求することは見当違いであるということが容易に理解できるであろう。UFOが今後も「生き残っていく」のであれば、それはやはり「現代の寓話」として機能していくはずなのである。
 悲観的な味方をすれば、もはや現代は「UFOを必要としていない」のかもしれない。本書はタイトルに「入門」と謳っているが、実は「総括」としての意味を持つのかもしれない。しかし、だとすればそれはそれとして社会の自然な変遷であると言えるだろう。妖怪や妖精が廃れたように、UFOもまた廃れたのである。まだしも「幽霊」の方が我々に必要なフォークロアとして生き残っているくらいのものだ。
 しかし、UFOそのものは廃れても、我々は常に「謎」を抱えて生きている。正体不明な「UFO的なもの」はこれからも形を変えて現れてくることは間違いない。そのときにはまた、トンデモなファンタジーを生み出す人々が騒動を起こすことであろうが、そういうときには笑って楽しむ余裕を持ちたいものだと思う。

08月28日(日)
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