ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491659hit]

■危険が迫っていても手抜き/『GUNSMITH CATS BURST(ガンスミスキャッツ バースト)』1巻(園田健一)
 読者はマンガを読む場合に、「コマに描かれていない」部分も想像力で補完し、無意識に繋げて読んでいる。そこに「連続する動き」を持ち込むと、かえって情報が増えて、間延びしてしまう。例えば、安彦さんがしばしば数コマに渡って、「原画を並べたような」連続の動きを描くことがあるが(『アリオン』の冒頭シーンなどである)、これは読者には「スローモーション」にしか見えない。最近のマンガではここまで露骨な描写は減ったが、それでもアングルを変えて、同じシーンをゆっくりとトレースすることがよくある。もちろんそれは安彦さんの場合は効果的に使われていて、サム・ペキンパーかジョン・ウーのようなスローモーション効果を生んでいるので、決して欠点ではない。安彦さんのマンガでは、爆発ですらスローモーションである。
 それに対して園田さんのマンガは岡本喜八である。アクションは省略に継ぐ省略、必要なカットは見せるが、それもロングとアップを何度も切り返し、コマとコマとは殆ど絵として連続していない。だから逆に「動いて見える」のだ。
 文章で説明をするのはとても難しいのだが、たとえば66ページで、銃を突きつけられたラリーが、足でシートを引っ掛け、上半身を倒し、マガジンを投げて敵の銃にぶつけ、跳ね上げたシートを敵のタマを受けるバリアーにし、再びマガジンを装填して攻撃するまでの流れなどは、間に「中割り動画が全く存在していない」ことが理解できるだろう。これがスピード感を生むのである。ガンアクションをマンガとして描かせた場合、園田さんが紛れもなく第一人者であるのは、この「省略の妙」にあると言える。
 ストーリーの紹介をせずに、絵の魅力ばかり語っているけれど、物語にはあまり興味がないんだから仕方がない。つか、園田さんの場合、ストーリーの方がガンアクションを見せるための道具だからね。
 ああ、あともちろん、女の子がアニメ絵でむちゃくちゃ可愛いです。巨乳かロリータで中間が殆どいませんが(笑)


 マンガ、ゆうきまさみ×田丸浩史『マリアナ伝説』3巻(完結/角川書店)。
 男シンクロナイズドスイミングという、決して『ウォーターボーイズ』をパクったわけではない(連載はこっちの方が先)、鍛え上げられた男の肉体がムリムリ出てくるちょっと気持ち悪いマンガも、掲載誌を変えた末にようやく完結。とりあえず「大会で決戦して終わり」というマンガの王道はちゃんと辿ったのかな(笑)。
 一応ラブコメ要素もあったようななかったような微妙な感じではあったが、まあゆうきまさみさんにはなかなか普通の恋愛は描けないから、結末もこんなものだろう。つか、ああいう結末にするなら、寺澤と天野、無理にカップルにする必要なかったんじゃないのか(オビに「衝撃のエンディングが君を待つ!?」とか書いてあって、どうやらネタバレ禁止みたいなので、一応オチは書きません)。
 何となく作者“たち”の女性に対する怨念がそこはかとなく漂ってるような感じだったねえ。男はバカだけれど、それを許せないのは女の罪、みたいな。でも、天野とか、キャラがいい具合に立ちかけてそこまで行かなかったような、ちょっと惜しいキャラだったと思う。生徒会長はもう、『究極超人あ〜る』のときまんまだから、声もちゃんと川村万梨阿で聞こえてくるんだが、天野はイメージボイスが浮かんでこなかったからなあ。
 いやね、ゆうきさんのマンガの場合(これは絵は田丸さんだけど)、キャラクターのイメージボイスが聞こえてくるかどうかで、作品の成否が決まってくるような気がするもんで。もっとも私は新しい声優はあまり知らないので、寺澤の声とか神谷明が浮かんだりするんですが。
あと、会長の弟のセリフで、「予約特典が気に入らないからってCD買わないくらいヘンな理屈」ってのには受けた。しょうもない特典が付いて怒るのは分かるけど、ヘンクツなオタクにこういうやつ多いからね。自分が鬱陶しいやつだってことに気づいてないんである。


 マンガ、丸川トモヒロ『成恵の世界』8巻(角川書店)。
 えー、隠れ人気キャラの一人、古本屋の娘さんで、太い眉毛がチャームポイントの永岡四季ちゃんがメインのオハナシ……というよりは実質上の主人公は、今は亡き、そのまたお婆ちゃんの折さんであります。

[5]続きを読む

08月17日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る