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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■いつでも危険と隣り合わせ/『沈夫人の料理人』3巻(深巳琳子)
つまり「大東亜共栄圏」という日本のスローガンは、「自衛戦争」でもあったが「侵略戦争」でもあったということである。中国も朝鮮も欧米列強の前ではまるでアテにならなかったのは事実だし、同時に資源のない日本が大陸の権益を独占しようとしたのも事実である。だとしたら両方の面があったって判断したらどうしてダメなのかね。
太平洋戦争についてだって、「アメリカに経済封鎖を受けたから、南進するしかなかった」。即ち、「やむを得なかった」面と、南方は日本の領土じゃないんだから「侵略」の面の両方があったことは事実で、どっちも否定できないでしょうが。
なんかね、二十年くらい前にね、「日本は侵略もしたけど、中国・朝鮮に対していいこともした」と誰ぞが意見を言ったらね、「侵略を正当化している」とアチラさんに曲解されて非難されてたんだけどね、そのときは決して「あれは侵略戦争ではなかった」とは誰も言ってなかったのよ。「侵略」の面だけをより強調したりするなって言ってただけで。
それが段々と論点が二極化されてね、もう「果たしてあの戦争は自衛だったのか侵略だったのか」ってどちらか一方しか認めないような二項対立の図式に意図的にずらされていったのね。だから上記のアンケートも、多分、毎日新聞自体、おかしいってことに気付いてないんだよ。
今や、「侵略」の面を強調するあまり日本の立場を全否定するサヨク連中と、逆に「自衛」やら「共栄圏」の面を主張することで「侵略」が全くなかったように装うウヨクの連中とに日本人は二極化しつつある。アンケート電話を受けた連中も、「質問がおかしい」とか「両方の面があるだろう」って見抜けなくなってるんだよね。
どっちの意見であろうと「洗脳」されてる点では同じ。まだ「分からない」って答えた人間の方がマトモだ。つまりマトモでない人間が七割以上いるってのが日本の現状なわけだ。たいへんな事態じゃないか。
私が何が言いたいかよく分からない人がいるなら、もっとストレートに言うけど、つまり、先の質問を受けて、質問のおかしさに気付かずに、「分からない」以外の答えを選んだ人は、もうそれだけで「洗脳されている」人か、「洗脳されやすい」人のどちらかなんだってことなんだよ? あなたはそうなってないか、自問自答してみたらどうかな?
日本にはね、「本気で戦争したがってる」人間は実際にいくらでもいて、別に街宣車でがなり立てるような行為に走らなくても、何食わぬ顔をして社会の中に溶け込んでるんだからね。自分の頭で考える力をなくしてる人たちは、気が付かないうちにいいように動かされちゃうかもしれない。もう動かされてないかな?
国家のことや政治のことを日頃から得々として語る人は、右だろうと左だろうと、それだけで既にイカレちゃってると判断されても仕方がない。身近にそんなやつがいたら、上記の質問をしてみよう。それでその質問のおかしさに気付かなかったり、ムキになって自分の主張を押し付けようとしたりしてきたら、その人はもう考える力を根元からなくしてしまっていて、その思想はとっても危ない誰かさんに植え付けられたものだってことなんだよ。
危ない危ない。近づかない方が無難無難。
マンガ、深巳琳子『沈夫人の料理人』3巻(小学館)。
精進料理の「精進」は、中国語だと(北京語かな?)「jingjin(チンチン)」というのだそうな(笑)。誰かもう『トリビアの泉』には送ったかな?
美食家の沈鳳仙夫人のために料理の腕を振るう李三の奮闘を描くシリーズ第三弾。苛められれば苛められるほどその技量が発揮されるという李三のキャラクターは、あまりにも卑屈すぎて好感は持てないのだが、Sっ気(サドの方ね)のある人は、沈夫人になったつもりで、李三の右往左往を楽しめるだろう。
正直、料理マンガというのは本当に料理が食えるわけじゃなし、料理を取り巻くシチュエーションやドラマがいかに工夫されているかによって良し悪しが決まるものだ。今回は李三を陥れようとする新しい召使・高子安や、ついにその究極の麺打ちの技を披露する李三の兄・李大など、李三が始終オドオドビクビクしているのを叱咤するようにアクの強い魅力的なキャラクターがどんどこ登場してくる。
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08月15日(月)
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