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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■日田屋形船と鵜飼い見物/『仮面ライダー響鬼』二十七之巻 「伝える絆」
 しげは少し下流の、人がやや少ないところで靴下を脱いで水の中に入り、一人きゃあきゃあと楽しんでいる。犬を連れて川の中に入ってくる人もいて、かなり大きな犬だったのでしげは怖がって逃げた。すると今度はそっちにも犬連れの人がいて、しげはまた逃げる。周囲の人はしげの存在など気にも止めていないが、遠巻きに見ている私には犬に追われて右往左往している様子が可笑しくて、まあしげが楽しめたんだったら来てよかったかなと気を取り直す。
 けど、やたらバーベキューの匂いは臭いわ、あちこちに無造作にゴミは捨てられてるわ、決して気分はよくなかった。バスハイクも少しは状況を考えてコースを決めてほしいものである。

 次に回ったのはまた滝のあるところで「岳切(たっきり)渓谷」。
 今度はバスも入り口の駐車場に停めることができたが、添乗員さんは「時間が50分しかありません。滝までは遠いので見に行っても途中で引き返してもらわなければならないと思います」と言う。だったらそんなところをコースに選ぶなよ(涙)。
 ここも父は「前に来た。先に行っても滝しかなかぜ」と言うので、下流でまたしげがぱちゃぱちゃやって終わり。父は「あのときは紅葉の時期も過ぎとって(以下略)」。まあしげが楽しめたんなら(以下略)。私は蜘蛛の巣だらけのトイレでウ○コした。幸い腹の調子は戻っていて、下痢ではなかった。

 続いて、サッポロビール工場を見学。
 ガイドさんの案内で、ビールの製造過程を説明してもらうが、壁に描かれたイラストが明らかに浦沢直樹の模写だった。酵母の研究をしてる人がマスター・キートンなのである。どこかの業者に依頼して描かせたんだろうけれど、こういうのは問題にはならないのかね。
 ビールの試飲の時間になって、休憩所で一息つき、ようやくここで気分が落ち着いた。時間までビールを何倍飲んでもいいということなので、父はテーブルとカウンターを何度も往復する。私もせっかくだからコップに半分ほど味見をしてみたが、やはり少しも美味くない。私の舌はビールには向いていないのである。あとはお茶とジュースで渇きを満たした。
 土産コーナーで、しげにリボンシトロンのTシャツを買ってやる。恵比寿ビールのTシャツも売っていたが、これはしげの気に入らなかった。結局、今回の土産はこれだけである。

 最終目的地の日田温泉に着いたのは五時半ごろ。滞在は入浴、夕食、鵜飼い見物を含めて約三時間。
 三隈川(筑後川)沿いのホテルで、名前もそのまんま「みくまホテル」である。控え室は三階のホールで、そこで日程の説明を聞く。
 夕食は屋形船の上で鵜飼いを見物しながらということだが、そのとき灯篭を流すこともできるので、希望者は先に申し出るようにとのこと。
 父が「お母さんの分、流そうか」と言うので、「いいけど、二つ買うの?」と答えた。
 「なんで二つも要るとや」
 「……ばあちゃんは?」
 「そうか、ばあちゃんもおったな」
 そりゃいるがな。もう完全に祖母の存在が念頭になかったのである。実は昨日、迎え火をしたときも父は祖母のことを忘れていた。本当にどんどん危なっかしくなっているんだが大丈夫かなあ。大丈夫じゃないよなあ。
 荷物をいったん一階のカウンターに預けて、十階の露天風呂へ向かうが、父は着替えも全部預けてしまったので、風呂から上がって「しもうたなあ、着替え持って来とっても何もならんが」とぼやくぼやく。もう私は慣れたよ。
 総ひのきの露天風呂は六人入れば押し競饅頭になってしまうくらい狭かったが、十一階建てのホテルは周囲でも一番高く、南に耶馬渓を望む眺めはなかなかである。このくらい高いと、夏場でも風は涼しい。男湯はベランダだが、しげは一つ上の屋上でのんびり風呂に入っているはずで、もっと周囲が見渡せていることだろう。

 いったん三階の控え室に降りてしげと合流。
 しげも「リボンちゃんのTシャツ、着替えにすればよかった。服が臭い臭い」と父と似たようなことを言う。
 「からだは洗わなかったのかよ?」
 「うん。浸かっただけ」
 何のために温泉に来たんだか分かりゃしない。

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08月14日(日)
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