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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■どうしてみんなあえて狂いたがるのか/舞台『お父さんの恋 -Family Tale-』
ついに魔化魍が街中に……つか、こないだから続いているレギュラー陣の「私服編」ですな。イブキ(渋江譲二)のショッピングはどうでもいいが、香須実(蒲生麻由)の薄黄色一色のファッションセンスってのはどうなんかね。あまりチャラチャラしてるのもよくないだろうが、ヒロインなんだから、もう少し華やかさがあってもよかろうとは思う。
華やかといえば、ひとみ(森絵梨佳)とあきら(秋山奈々)に挟まれた明日夢(栩原楽人)君、両手に花ですごく幸せそうだったなあ(笑)。でもこれで明日夢君、全国のロリ系オタクは敵に回してしまったね。どうせスタッフもオタクだろうから、ファン心理というものは先刻ご承知だと思うのである。これからは視聴者の溜飲を下げるためにも、明日夢君を何かと苦しめる展開になるんじゃないかと予測するがどうか。盲腸とか万引き犯に狙われるとか、そんな生ぬるいことじゃまだまだだね。
関係ないけど、「天美あきら」の「天美」って、ずっと「てんみ」って読んでました。今日初めてこれが「あまみ」であることに気がついた(ボケボケである)。というとやっぱりこの子もイニシャルが「姓・名」ともに同じ。やっぱり「鬼」になる運命なんだねえ。けど、明日夢と同じイニシャルってことは、二人で「逢引鬼」(アイビキ)とか……。すみません、座布団一枚返上します。
昨日WOWOWで録画しといた、パルコ+サードステージPresentsの舞台『お父さんの恋 -Family Tale-』を見る。
これも福岡公演があって、私はすごく見に行きたかったのだが、しげは全くと言っていいほど興味を示さなかった。主演、前田吟だぞ、オイッて言っても全然伝わんないのがちょっと寂しい(タイトルロールは境雅人が筆頭だが、実質的な主役は前田吟である)。
前田さんはこないだ『キネ旬』でも、1968年の初主演映画『ドレイ工場』に出演したときの思い出を語っていらっしゃったが、俳優座養成所出身だからやはりもともとは舞台の人なのである。『男はつらいよ』で長く博役を演じてこられたから、どうしても実直で融通が利かない、けれど下町の人情味に溢れた労働者、というイメージが付いて回るが、そこから「解放」された現在、どんな演技を披露してくれるのか、それが楽しみであった。
タイトルだけだと確かに地味で興味を惹かれないのも無理からぬことだけれど、これはかなり意欲的な脚本、演出の舞台である。開幕当初、上手のベッドに前田吟扮する“お父さん”杉本正樹が寝ていて、そこへ派遣ホームヘルパーの深谷さおり(星野真里。『三年B組金八先生』の金八の娘・坂本乙女役の美人さん)が入ってくる。二人の会話が“噛み合っている”ので、いっときは“気が付かない”のだが、杉本家の次女・美樹(菊池麻衣子)が登場してきたあたりから、なんだか“雰囲気がおかしい”ことに観客も気付き始める。父親が娘に声をかけても、何の反応もしないのだ。娘には父親の姿が見えていないのか? と一瞬訝るが、どうもそうではないらしい。美樹は正樹がちゃんとベッドにいるものとして、様子を窺っている。正樹は当然、美樹に声をかけるのだが、その声は“美樹には届いていない”のだ。長女の武藤正子(七瀬なつみ)、医者の藪一平(池田成志)が登場するに至って、正樹は実は「寝たきり」の植物人間で、喋っているのは正樹の「心の声」に過ぎないことが分かる。冒頭、さおりとの会話が成り立っているように見えたのは、さおりが「正樹さんには意識がある」、と信じて声をかけていたからなのだ。
全編、お父さんは植物人間のままで通し、その声が他の家族に届くことはない。ある意味、これは「幽霊もの」の変形であって、映画『ゴースト ニューヨークの幻』のように、現世の人間との交流は可能か、という興味で物語を引っ張っていく。ところが、お父さんはちゃんと「生きていて意識もある」のに、ほんの少しも家族との会話が成立する様子を見せないのだ。植物人間は植物人間、決して目を覚ますことはない。だからいかに前田吟が熱弁を振るおうと、これは極めて現実的な物語であって、「幽霊もの」のようなファンタジーではないのだ。
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05月22日(日)
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